レバノンでデフォルト(債務不履行)発生、対岸の火事で済まされるのか
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大とそれにより世界経済への影響、さらには原油価格の急落などで世界の金融市場で大きな変動が起きていた最中に、中東のレバノンでデフォルト(債務不履行)が発生していた。
レバノン政府は、3月9日に期限を迎えた外貨建て国債12億ドル相当の支払いを見合わせることを明らかにした。返済保留で同国初のデフォルトとなる(ブルームバーグ)。
レバノンといえば、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡先でもあるが、中東の比較的小さな国であり、産油国である。
レバノンは1990年まで続いた内戦後、復興のためとして多額の資金を外国から借り入れをはじめた。しかし、2011年から始まった隣国のシリア内戦の影響を受け、さらにここにきての原油価格の下落傾向も影響したとみられ、公的債務は次第に膨れあがってきた。
債務残高は900億ドルに膨張し、国内総生産に対する債務の比率は170%に達したとされる。ちなみに国内総生産に対する債務の比率について、日本は230%に達しているが、日本への信頼度は極めて高く、何かあってもリスク回避として円高となるぐらいであり、国民もあまり気にしなくなってきている。
それはさておき、このレバノンのデフォルトが世界経済に何かしら影響を与えるのかといえば、経済規模もそれほど多くはなく、欧米などとの関係もそれほど深くはない。このため、国際金融市場への影響は限定的とされる。
レバノン国債の大半は国内銀行が保有しているようであり、海外には影響を与えないとしても国内での混乱が大きくなる可能性がある。これによってカルロス・ゴーン被告が動きをみせるのかどうかはわからない。
原油価格は3月に入り、さらに下落してきたこともあり、中東の国々にも影響が出る可能性があり、今後の動向に注意も必要となる。
さらに国内総生産に対する債務の比率が170%のレバノンでデフォルトが発生したという事実そのものにも注意する必要がある。
繰り返すが日本の国内総生産に対する債務の比率はすでに230%にも達している。それでも日本への信用度が高い間は、デフォルトなど気にする必要はないのかもしれない。しかし、何かしらのきっかけでその信用度が低下してきたらどうなるのか。新型コロナウイルスの世界的な拡大や原油価格のここまでの急落はまさにブラックスワンともいえたが、これが日本で発生しないという保証もないことも事実である。