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2019年度補正予算は4兆5000億円規模、これによるカレンダーベースでの国債発行計画の修正はなし

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 政府は13日に2019年度補正予算案を臨時閣議で決定した。追加歳出は「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」と称された新たな経済対策の実施に伴う4兆3030億円に加え、国際分担金等の追加財政需要が1692億円あり、合計で4兆4722億円の歳出追加となる。

 「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」としては、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保として2兆3086億円、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援として9173億円、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上として1兆771億円が計上されている。

 この政府の経済対策に対して、日銀は先行きの国内需要押し上げに相応に寄与すると見込んでいるようで、1月の展望リポートに反映させ、見通し期間の2021年度にかけて実質国内総生産(GDP)見通しの上振れ要因になる可能性も指摘されている。

 歳入は2018年度の剰余金8016億円などに加え、経済対策の財源として建設国債を2兆1917億円、税収減を補うために赤字国債を2兆2297億円、追加発行する。ちなみに税収の下振れ部分は2兆3150億円となっている。年度途中での赤字国債の発行は3年ぶり。

 ただし、これによるカレンダーベースの国債発行計画の修正はない。増発分は前倒し発行分があるため、それで調整される。

 国債の実勢利回りが積算金利1.1%を下回っていることで、利払い費を含む国債費を中心に1兆2908億円の経費削減を見込んでいる。このため、上記の追加歳出とこの経費削減分を差し引くと、今年度予算は当初予算から3兆1946億円の上振れとなり、104兆6517億円となる。

 さらに政府は、2020年度一般会計予算案で、国債利払い費の前提となる積算金利を1.1%とする方向で調整に入ったとも報じられた。今年8月の要求時点からは0.1%の引き下げとなるが、結果として1.1%というのは2017年度から4年連続となる。

 現在の長期金利はゼロ近傍におり、このままの推移が続けば、そして、日銀の長期金利コントロールが現状のまま続けられれば、今年度程度の経費削減となるはずである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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