FOMCでは利下げを停止か、ECB理事会ではラガルド氏の政治的手腕に期待
今週は10日から11日にかけてFOMCが、そして12日にはECB政策理事会が開催される。ちなみに日銀の金融政策決定会合は18日から19日にかけて開催される予定となっている。
今回のFOMCでは金融政策の現状維持が決定されると見込まれている。FRBは7月から10月まで3会合連続で利下げに踏み切ったが、この利下げは予防的なものであり、一時的なものとの認識を示していた。
FRBのパウエル議長は11月13日の米議会証言で「金融政策は現状が適切だ」と述べ、7月から続いた利下げを当面停止する方針を表明した。ただし、この際に「見通しの変更が必要になれば、それに伴って対応する」とも主張、米中の貿易交渉が決裂するなどした場合には、利下げを再開する可能性にも含みを持たせた(11月13日日経新聞)。
米中の通商交渉の行方については、依然として不透明感が強い。しかし、15日に予定している中国からの輸入品1600億ドル相当への追加関税引き上げについて、パーデュー米農務長官が発動する可能性は低いとの見解を表明するなど、交渉の行方に対して楽観的な見方も出てきている。
FOMCの開催中に米中協議の行方がはっきりするかどうかは不透明ながら、現状はこれによって利下げ圧力が強まるような状況にはない。
6日に発表された11月の米雇用統計についても、非農業雇用者数が予想を上回るなどしており、これも利下げ停止の後押し材料になるとみられる。
以上のことから11日のFOMCでは金融政策の現状維持が決定されるとみている。
注目すべきは12日のECB政策理事会かもしれない。ECB総裁がラガルド氏に変わってからの初めての理事会となる。前任のドラギ総裁が、ドイツなどの反対を押し切って包括緩和を決定した。このため、理事会内での不協和音が生じているなか、どのように関係を修復するのか、ラガルド総裁の手腕が期待される。
ラガルド氏はECB総裁として初の女性であるばかりでなく、中銀での経験を全く持たないトップとなる。しかし、現在の日銀の黒田総裁も同様であった。このため、ECBのスタッフがしっかり支えてくると思われる。それが大きな問題となるとは思えない。むしろ、ラガルド氏のフランスの財務相として、IMF専務理事として磨いた政治家としてのキャリアが活かされるのではなかろうか。
ECBも金融政策は現状維持となると予想される。今後については景気や物価、米中の交渉などの行方を見ながら、臨機応変に政策を行うことを示し、前任者の量的緩和策には理解を示しながらも、ドイツなどのメンバーにも配慮し、中立的な姿勢を示してくるのではないかとみている。