冷戦終結から30年、今度は米中の対立が激化
1989年12月2日から12月3日にかけて、地中海のマルタで行われたアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦両国の首脳会談はマルタ会談と呼ばれた。アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュとソビエト連邦社会主義共和国の最高会議議長兼ソビエト連邦共産党書記長ミハイル・ゴルバチョフによる首脳会談で、第二次世界大戦末期のヤルタ会談に始まった米ソ冷戦の終結を宣言した。
このマルタ会談では、特に何らかの合意がなされたわけではなかったものの、ブッシュ大統領はペレストロイカと呼ばれたゴルバチョフ議長による指導や改革を支持した。これによりいわゆる「鉄のカーテン」が開かれ、米国とソ連の関係改善とともに、その後のソ連の崩壊を招くことになった。
この会談の前、1989年11月9日にはベルリンの壁が崩壊した。東ドイツでは大規模なデモが続き、また政府報道官が誤って移動の自由を発表したことで、1989年11月9日に多くの人が国境に殺到。警備員は最終的に検問所を開き、何千人もの人が東側から西側へ流れ込んだ。ベルリンの壁も破壊された。
1991年12月にはソビエト連邦共産党解散を受けて、全ての連邦構成共和国が主権国家として独立した。12月25日にソビエト連邦大統領ミハイル・ゴルバチョフの辞任に伴い、ソビエト連邦が解体されることになった。
その後、いったん米国は「唯一の超大国」となったものの、中国が1980年代あたりから急激な経済成長を遂げることになり、世界経済への影響力を高めることになる。2010年には中国のGDPは日本を抜いて世界第二位となり、経済大国としての存在感を高めた。
そういったなかで米国では2017年に「米国第一」を掲げたトランプ大統領が登場した。それまで米国と中国は共存共栄といった格好となっていたが、トランプ大統領は中国の経済力を脅威とみなし、覇権争いを行うことになった。それが結果として関税合戦となり、それが収束できるかどうかが、現在の大きな課題となっている。
いずれ米国と中国の覇権争いは避けられないとの見方もあったものの、トランプ大統領のやり方はやや極端ともみられ、金融市場はトランプ大統領のディールと称する仕掛けとそれを受けた中国の反応に一喜一憂することになる。
冷戦終結宣言から30年を迎えることになったわけだが、それはちょうど日本では平成の時代と重なる。世界の政治経済が大きなうねりを見せるなか、平成の日本バブル崩壊などによって閉塞感を強めてしまった。それを日銀の金融政策で無理矢理どうにかしようとしても無理がある。
ここからの30年間、当面は米中の対立が大きな課題となるものの、そのなかにあっての日本の政治経済面での立ち位置をどうしていくのか。高齢化、巨大債務など本来重視すべき課題も多い。