債券市場は日銀の調節で機械的に動く市場ではない
21日付けのブルームバーグの記事によると、債券先物は14年ぶりに7日続落となったそうである。下げてはいるなと思っていたが、中心限月で2005年7月25日~8月2日以来の7日連続安になっていたのは気がつかなかった。
記事中では、日銀が国債買い入れオペで新発債を対象銘柄から外しており、利回り曲線のスティープ(傾斜)化を促す措置を講じているとの懸念から下落したと報じている。
これは前週末の日銀による国債買入で、25年超のところで30年カレント債が対象除外になった。これを受けて市場では日銀が超長期の利回りを上昇させ、異次元緩和による金融機関への副作用を後退させようとしている、もしくは今後の日銀による追加緩和の準備をしているのではとの憶測もあったようである。
ただし、今回の債券先物の動きは米10年債利回りの動きと似通っていた。当然ながら米債は日銀の国債買入によって動かされるものではない。米中の通商交渉や英国のEU離脱を巡って、やや楽観的な見通しも出てきたことでのリスク回避の巻き戻しの動きが主体となり、そこに日銀の動きも加わっての債券先物の7日続落になったものと思われる。
たしかに何かしらのバイアスが掛かっていない状況下では、日銀の国債買入の調節でイールドカーブの形状を変化させることはできるかもしれない。しかし、再び米中の交渉がこじれたりして世界的なリスク回避の動きを強めれば、そのような手段は通じなくなってしまうことにも注意すべきか。
たしかに日銀はある程度の長期金利コントロールは可能であったかもしれない。しかし、イールドカーブの形状まで、国債買入の調整で行うことにはかなり無理もある。債券市場も参加者が少なくなり、動きが鈍くなったとはいえ、市場であることに変わりない。短期金融市場であればそのような調節は可能かもしれないが、債券市場は日銀の調節で機械的に動く市場ではない。もしそうしたいのであれば債券市場の価格調節機能をなくしてしまう必要があるのではなかろうか。