フェイスブックの仮想通貨リブラは使えるのか

(写真:ロイター/アフロ)

 米国のフェイスブックは、独自の仮想通貨(暗号資産)である「Libra(リブラ)」を発表した。リブラのブロックチェーンの構築と運営は、スイスに本拠を置く非営利団体「リブラ協会」が行うそうで、これにはさまざまな業界の企業が参加している。

 リブラは基本的に国が発行する法定通貨など従来の金融資産を担保とする「ステーブルコイン」となり、価格が比較的安定するとみられている。

 利用者は登録の際に各国政府が発行したIDが必要で、銀行口座やデビットカードを使ってリブラを購入する。瞬時に送金したり、米ドルなどの法定通貨に交換したりできる。手数料は、ほぼかからないとみられている(Newsweekの6月29日の記事より)。

 このようにリブラは投機資産と化しているビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)と違って、決済手段を目的として設計されているようである。

 GAFAの一角を占めるフェイスブックが、独自の通貨構想を打ち出した。これで現在の通貨システムに大きな変化が訪れるのではとの見方も出ていたが、それは現状、懐疑的と言わざるを得ない。

 ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)が魅力的に映ったのは、ネットを使ったあらたな通貨としての期待が当初あったからだ。しかし、価格が乱高下することで通貨としての機能は疑問視された。その反面、価格の上昇などから投機的な資金が入り、投機対象となっていた。また資金流出事件もあり、その信用度に疑問も生じた。

 これに対してリブラはステーブルコインとして設計されていることで、価格は比較的安定する。その分、投機対象となることはない。その利用は決済に利用されることになる。そうなるとリブラと比較されるものは法定通貨ということになる。リブラと法定通貨、どちらの使い勝手が良いものとなるのか。

 これについては仮想通貨が出てきたときにも起きた現象であるが、その国の通貨への信用度の低い国での利用が活発化する可能性がある。その反面、法定通貨への信用度が高いところ、それがしっかり中央銀行などで維持されているところでは、よほど何かしらの利用価値がない限り、普及が進むことは考えづらい。

 たとえばリブラはデータがしっかり管理されるのかという疑問が残る。通貨価値を安定させその信認を維持させるには、目に見えないところで費用も掛かり、手間もかかる。気軽に使えるということは、気軽に使えるような強固なシステム、インフラが存在していることを忘れてはいけない。

 それ以前に、マネーローンダリングなどへの警戒などもあり、それぞれの国がリブラの利用に制限を掛けることも想定される。

 日本でもしリブラが使えるようになった場合に、その利用法のひとつとして円に対するリブラの価格変動を利用することなどもありそうである。つまり、日本で円ではなくドルを持つようなかたちでリブラに変える。また、海外での両替などをリブラを通して行うなどの利用も考えられる。しかし、それもリブラへの絶対的な信用が存在しなければ、利用は控えられよう。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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