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米株価指数が過去最高値更新、ゴルディロックス(適温)相場が復活か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 23日の米国株式市場では、ナスダック総合株価指数が105.556ポイント高の8120.822ポイントとなり、S&P500種株価指数は25.71ポイント高の2933.68ポイントと、ナスダックは約8か月ぶり、約S&P500は約7か月ぶりに過去最高値を更新した。ダウ平均も145ドル34セント高の2万6656ドル39セントと昨年10月に付けた過去最高値まであと172ドルに迫った。

 ダウ平均の推移をみてみると、過去最高値をつけた昨年10月以降に調整局面を迎えた。このときの要因のひとつに米国の長期金利の上昇も指摘されていた。中国からの輸入品への課税や原油価格の上昇などによる物価上昇圧力が意識されはじめたのである。物価上昇観測により、米長期金利は3%を抜けてきていた。

 しかし、その米長期金利も11月上旬をピークに低下傾向となってきた。昨年10月以降の米国株式市場の調整の要因としては、すでに下落トレンド入りしていた欧州や中国の株価指数などが示していたように、欧州や中国の景気減速による米国経済への影響が危惧されたためとみられる。

 ところが、昨年のクリスマスあたりを底にして、世界的に株価指数が反発してきた。米国の株価指数だけでなく、欧州や中国の株価指数も同様となった。また、原油先物も同様に昨年の12月23日あたりが目先の底となり反発している。

 中国の上海総合指数は昨年5月の水準あたりまで反発しており、欧州の株価指数はそこまで戻り切れていないが昨年9月あたりの水準に戻している。

 そして米国の株価指数のうちナスダックとS&P500は過去最高値を更新してきた。ダウ平均の過去最高値更新も時間の問題か。

 これに対して日経平均はまだ戻り切れておらず、まだ昨年12月初旬あたりの水準にいる。

 昨年10月以降の株式市場のゴルディロックス(適温)相場に変調をきたしたのではないかとみていたが、その変調は一時的なものとなり、ゴルディロックス(適温)相場が復活してきたようである。

 中国の株価指数が景気回復を見越しているのであれば、欧州経済を含めて懸念が後退してくる可能性はある。米国経済の減速も懸念に終わる可能性はある。

 FRBは10月以降の株価の調整を当初は楽観視していたが、今年に入り危惧に変わっていた。結局は当初の楽観視が正解であったのかもしれない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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