約700程度の金融機関が参加するスマホ決済が前倒しで開始予定か

(写真:アフロ)

 10日付けの日経新聞によると、金融機関が準備を進めるスマートフォン(スマホ)を使った決済サービスに、半数程度の約700機関が参加の意向であることがわかったそうである。政府が10月の消費増税に伴い、キャッシュレスでの買い物にポイント還元をするのにあわせ、開始時期も2020年4月から半年早める方針だとか。

 QRコードを使った決済方式はここにきて乱立しているが、本命ともいえそうなものが出てくるようである。QRコードを使った決済は中国で普及しているが、こちらも乱立したものが2つ程度に絞られた。さらに中国では、QRコードを使った決済以外の利用も組み合わせることで利便性が増したため、一気に利用が拡大したとされている。

 そして、QRコード決済が普及している国としてはスウェーデンの事例もある。スウェーデンのキャッシュレス化を推進するうえで重要な役割を果たしたと言われているのが、「Swish」と呼ばれるモバイル送金アプリである。「Swish」はスウェーデンの大手金融機関7行が共同で開発したサービスであり、スウェーデンの主要銀行に口座を有する個人間で送金が行え、無料で利用できる。ただし、中国に比べるとそこまで「Swish」を使ったQRコード決済が普及しているわけではないようで、クレジットカードの利用もまだまだ多いようである。

 今回の日本での約700程度の金融機関が参加するとされるスマホを使った決済方式は、このスウェーデンの「Swish」と似たものになるとみられる。

 銀行口座から代金を引き落とすデビットカードのシステムを活用することで、利用者はスマホのアプリに銀行口座を登録し、店舗でQRコードを読み取れば支払いが済むかたちとなる。記事では触れていなかったが、「Swish」のように個人間で送金を行うことも可能となる可能性がある。

 今回の決済サービスでは加盟店が支払う手数料率を1%台にとどめることで、クレジットカードなどに比べて加盟店側の負担を軽減させるとか。

 日経新聞によるとポイントを付与するなど促進策がなければ振り向いてもらえないのではとのコメントも掲載されていたが、ポイント付与の原資が確保しづらいだけでなく、ポイント競争となってしまうと体力勝負の普及争いにもなりかねない。

 それよりも利便性を追求することが重要ではなかろうか。自分の銀行の口座から直接引き落とせるという現金に限りなく近い利用方法であることも利用者にもっと認識してもらうことも重要となろう。しかし、日本ではデビットカードが普及しなかったことで、それを反省材料にすることも必要になる。そして、中国のようにQRコードそのものの利便性を生かす工夫を店側にも提示するなどして、QRコードを使っての店や商品の案内、注文などなどもできる上での、最終的にQRコード決済を利用してもらうなどの工夫が求められよう。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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