ギリシャの長期金利が2006年1月以来の水準に低下
4月8日にギリシャの10年国債の利回り(長期金利)が3.5%を割り込んだ。ロイターによると3.5%を割り込んだのは2006年1月以来となるそうで、13年ぶりの水準に低下した。
2010年1月に欧州委員会がギリシャの財政に関して統計上の不備を指摘し、ギリシャの財政状況の悪化が表面化した。これはギリシャ・ショックとも呼ばれ、イタリアなどを巻き込んで欧州の信用不安を引き起こした。
ギリシャは2009年10月に政権交代が行われたが、パパンドレウ新政権に変わったことにより前政権が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになった。これを受けて格付会社は、相次いでギリシャ国債の格付けを引き下げ、ギリシャ国債は暴落した。
ギリシャの10年債利回りは2010年1月頃は5%割れとなり、ドイツの10年債利回りとそれほど変わらなかった。しかし、ギリシャの財政状況の悪化が表面化し、財政赤字の隠蔽が行われていたことが発覚し、ギリシャの国債への信認が低下、格付会社の格下げも手伝って、2011年末から2012年にかけてギリシャの10年債利回りは30%台に上昇した。
その後、欧州諸国による債務危機への対応や、欧州安定メカニズムによる金融支援、ECBによる利下げや流動性を供給するため期間3年の長期リファイナンス・オペ(LTRO)の新設などの対応策、そしてギリシャの2012年6月の選挙で財政緊縮支持派の第1党が連立政権の樹立に成功したことなどを受けて、危機は徐々に沈静化していった。ギリシャの10年債利回りは2013年に10%割れとなった。
その後、ギリシャの10年債利回りは2015年に再び10%台に上昇したが、2016年以降は低下基調となり、2006年1月以来の水準に低下したのである。
ここにきてのギリシャ国債の利回り低下の要因としては、ユーロ圏財務相らが5日に支援プログラム後の施策の一環としてギリシャに9億7000万ユーロを支給することで合意したこと、そしてギリシャがIMFに対する最大40億ユーロの融資返済に向け数か月以内に国債発行を計画していると明らかにしたと報じられたことなども要因となったようである(9日付けロイターの記事より引用)。
さらに欧州の景気減速などにより、欧州全体の国債利回りに低下圧力が加わっていたことも影響している。ドイツの10年債利回りが一時マイナスとなるなどしたことで、信用が回復してきたギリシャの国債利回りも一緒に低下してきたといえる。