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1月の日本の貿易赤字が4年10か月ぶりの大きさに

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 財務省が20日発表した2019年1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆4152億円の赤字となり、4か月連続での赤字となった。貿易赤字の幅は4年10か月ぶりの大きさとなった。

 貿易統計は通関統計とも呼ばれているが、これは日本の貿易についてまとめた統計となる。日本から輸出及び積戻し並びに輸入された貨物についても通関時の価格による輸出入の金額となる。貿易の商品の種類、量、金額のほとんどを把握しているため、貿易状況を調べる上で基礎的な資料となっている。

 中国向けの輸出が前年同月比17.4%減の9581億円と2か月連続での減少となり、大きく落ち込んだ。減少品目でみると電気回路等の機器、プラスチック、そして半導体等製造装置が大きく落ち込んでいた。

 米中の貿易摩擦、それにも影響されての中国経済の減速により、半導体製造装置などが落ち込んだとみられる。

 EU向けの輸出も4か月ぶりの減少となっているなど、世界的な景気減速の影響が出始めているとみられる。

 昨年一年間と比較しても、今回の貿易赤字の幅はかなり大きいものとなっている。これが一時的なものなのか、それともさらに貿易赤字が拡大してくる可能性があるのか。今後の国内経済の動向を見る上でも、貿易収支の動向は要注意となりそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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