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日銀による国債買入の修正点、中期ゾーンの買入は実質減額に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 10月31日の17時に日銀が発表した「当面の長期国債等の買入れの運営について」では、いくつかの修正が加えられた。

 1年超5年以下の国債買入の回数が10月の5回から11月は4回に削減された。その上で、1回当たりオファー金額のレンジが、1年超3年以下の分で、10月の2000~4000億円程度から11月は2500~4500億円程度に増額された。3年超5年以下は、10月の2500~4500億円程度から3000~5500億円程度に増額された。

 直近の1年超5年以下の国債買入は10月30日に行われており、この際には残存期間1年超3年以下の買入額は3000億円、残存期間3年超5年以下の買入額は3500億円となっていた。それぞれ3000億円が5回の1兆5000億円、3500億円が5回の1兆7500億円となる。これが4回となればそれぞれ一回当たりは3750億円、4375億円となる。

 日銀は9月の国債買入の回数を中期と長期ゾーンについて、8月までの6回から5回に減らした。その上で月額ベースでの買入額を縮小しており、今回も同様に一回当たりの買入額は3750億円、4375億円から削減されることが予想される。これは2日の同ゾーンの買入額で確認したい。ということで2日の国債買入オファーにて確認したところ、残存期間1年超3年以下の買入額は3500億円、残存期間3年超5年以下の買入額は4000億円となり、月額ベースでは実質減額となる見込み。

 そしてもう一点、日程について変更が加えられた。10月の国債入札スケジュールと日銀の国債買入をみてみると10月2日の10年国債入札の翌日3日にその10年国債新発も該当銘柄となる5年超10年以下の買入が行われた。同様に11日の30年国債入札の翌12日に超長期ゾーンの買入が行われ、16日の5年国債の入札日の翌17日に中期ゾーンの買入と、国債の入札日の翌日に入札された銘柄を含む国債買入が組まれていた。

 これに対して11月1日の10年国債の入札に関しては、翌2日に該当銘柄となる5年超10年以下の買入が予定されているものの、それ以降については、13日の30年国債入札日のあとは翌日の14日ではなく16日に超長期の買入が予定されている。15日の5年国債の入札日のあと19日に中期ゾーンの買入が組まれるなど、これまでの翌日の国債買入というパターンがなくなった。

 11月1日の10年国債入札日の翌日に行われた買入に関しては、入札が発表日翌日ということが配慮されたのではないかと思われる。12月からは10年国債についても翌日買入というパターンではなくなるのではなかろうか。

 これらの国債買入の修正は事前にある程度報じられていたこともあり、これを受けて債券先物は少し売られたがそれほど大きく崩れたわけではない。これにより実質的な国債買入減額とともに、タイトなスケジュールがやや緩和されるような格好となるのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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