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ECBの年内利上げはあるのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 欧州中央銀行(ECB)は1月25日に開いた理事会で主要政策金利を0.00%に、中銀預金金利をマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。ドラギ総裁は理事会後の会見で、「現時点でのデータや予測を踏まえ、今年利上げが実施される確率は極めて低いとみられる」と発言した。また、「金融政策は引き続き緩和的となり、金利は量的緩和(QE)策終了後も長期間にわたり低水準にとどまる」とも発言した。

 ECB理事会のメンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は28日に、ECBは債券買い入れプログラムをどのように終了するかについてできる限り早く明確にすべきとの見解を表明。債券買入プログラムを「続ける理由は何もない」と述べた。さらにECBのプラート専務理事は29日にブリュッセルでの会合で、ECB理事会が持続的な調整への条件が整ったと判断した場合、ガイダンスに沿ってネットでの資産買い入れが終了する、との見解を示した。ただし、資産買入終了を段階的に行うか一度に実施するか、ECBはまだ決定していないとも指摘していた(ロイター)。

 ECBの債券買入額は今月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額し、少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ドラギ総裁は年内の資産買入停止についてはコミットしていないが、債券買入は年内にも停止する可能性が高い。

 昨年12月14日のECB政策委員会の議事要旨では、「金融政策姿勢や、政策方針(フォワードガイダンス)のさまざまな次元に関わる文言について、来る年(2018年)の初めに再検討を加える可能性がある」と指摘したが、1月のECB理事会でのガイダンスの修正はなかった。

 ECBの利上げについては年内に検討することはひとまずなさそうであり、ガイダンスの修正と資産買入の停止方法を模索してくることになりそうである。そして、債券買入停止後にあらためて利上げを検討するというのがシナリオか。

 しかし、果たしてそのような慎重姿勢が貫けるであろうか。キーとなりそうなのは物価となるが、それでも金利を取り巻く環境が今年様変わりしてくる可能性もありうる。日銀の黒田総裁のダボス会議での「ようやく(物価)目標に近い状況にあると思う」との発言や、上記のオランダ中銀総裁の発言をきっかけに、ユーロ圏の国債利回りが上昇してきている。

 29日にドイツの5年債利回りは2015年以来初めてプラスに転じた。米長期金利の上昇ピッチの早さにも影響され、ドイツの10年債利回りも2日に0.76%まで上昇している。ドイツの10年債利回りはチャート上からは0.90%を目指して上昇してくることが予想される。このため、もしかするとユーロ圏の国債利回りの上昇がECBの利上げを促すといった状況となる可能性もまったくないとは言えないかもしれない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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