日経平均がバブル崩壊後の高値更新、気をつけるべきリスクとは

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 11月7日の東京株式相場では日経平均株価が389円25銭高の22937円60銭で引けたことで、1996年6月に付けたバブル崩壊後の高値となる22666円80銭を抜け、1992年1月以来、25年ぶりの水準を回復させてきた。

 この背景にあるのは国内企業の業績回復などもあるが、海外株式市場の上昇による影響が大きい。米国株式市場ではダウ平均、ナスダック、S&P500の主要3指数が過去最高値を更新し続けており、ロンドン株式市場でもFTSE100種総合株価指数やフランクフルト株式市場でドイツ株式指数(DAX)も過去最高値を更新している。

 欧米の株式市場が過去最高値を更新している割に、日本の株価はやっとバブル崩壊後の高値を更新した程度ともいえるかもしれない。それでもやっとここにきて世界的な株価の上昇トレンドに東京株式市場も乗ってきた。

 実感なき景気回復と言われてはいるが、それでも企業の決算等は好調となるなど景気が回復していることは確かである。ただし、今回の世界の株高には物価上昇が伴っていないことも特色となっており、それが熱狂なき株高といえるような状況となっている。

 物価が上昇しないことで、日米欧の中央銀行の金融政策は異常ともいえる緩和策を継続させている。米国のFRBはいち早く出口政策をとってはいるが、それでもかなり慎重に進めており、膨れあがった買入資産の縮小にも慎重である。イングランド銀行は10年ぶりの利上げを決定したが、再利上げは予想以上の慎重姿勢を見せている。ECBもテーパリングではなくダウンサイジングとの表現を使うなど買入規模の縮小にも慎重姿勢となっている。日銀も出口との表現は封印せざるを得ない状況にある。

 この日米欧の中央銀行の慎重姿勢も手伝っていわゆる金融相場と業績相場が同時に起きるという状況となっている。

 リーマン・ショックやギリシャ・ショックに代表される大きな世界的な金融経済リスクが後退し、世界経済は回復基調となり企業業績は回復し、そこに大規模な緩和効果も残っていたことで、株価をつり上げている。

 現在の世界的株価の上昇はバブルなのかと言えば、いずれはバブルと呼ばれる可能性は高い。ただし、その頂点が見えているわけではない。日本のバブルも崩壊して初めてバブルと呼ばれた。

 ではどのようなタイミングで今回の株価の上昇トレンドが変化するのか。それもまた日米欧の中央銀行の行方に掛かっているような気がする。物価の低迷と中央銀行による大規模な国債を主体とした資産買入は特に日本で財政への懸念を覆い隠すかたちになっている。この好環境が崩れることになると、あらたなリスクが生じる可能性がある。その意味では東京オリンピックが開催される2020年は注意すべき年となるかもしれない。戦後初めて国債が発行されたのは、前回の東京オリンピック後であった。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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