北朝鮮のミサイル発射に動揺しなくなった金融市場
9月15日の朝7時ごろ、再びJアラートが発動した。北朝鮮が再びミサイルを発射したとの情報であった。しかし、今回の北朝鮮のミサイル発射による市場への影響は一時的なものとなった。早朝であったことで開いていたのが外為市場だけであり、北朝鮮のミサイル発射のJアラートを受けて、ドル円は一時110円を大きく割り込み、109円50銭台まで下落した(円がドルに対して買い進まれた)。しかし、そこからすぐに買い戻され110円台を回復した。
東京株式市場も地政学的リスクが意識されてやや売りが先行したものの、こちらも切り返し、日経平均はプラスに転じ、引けは102円高となった。債券市場で債券先物は買い戻しが先行し、前日比8銭高の150円85銭で寄り付いた。引けは19銭高の150円96銭となり、地政学的リスクによる国債買いのように見えるが、実際には三連休を控えてポジション調整的な相場となっていたことで、リスク回避による買いといったものではなかった。
このように北朝鮮のミサイル発射による金融市場への影響はわずかなものであった。これは今回のミサイルの発射が前回と同様の時間帯と方角であったことで、どこかを攻撃するという意図はなく、あくまで試射といったものであろうとの認識が当初から強かったことにあろう。なるべく航空機の少ない時間帯と少ない地域、しかも日本列島になるべく接しない方向が意識されていたようにもみえる。
もちろんどんなに気を遣おうが、許せる行為ではないことも確かである。ただし、市場参加者にとって今回のミサイル発射が、いまここにある危機に即座に繋がることはないとの認識が、金融市場の動きにも反映されたものとみられる。つまり今後も今回と同様のミサイル発射であれば、あっ、またかといった反応を示すことも予想される。
しかし、このような挑発行為が繰り返されると、何かしらのきっかけで大きな衝突にも繋がりかねないことも確かである。市場が動揺を示さなくなったといっても、北朝鮮の地政学的リスクは依然存在していることは確かである。