Yahoo!ニュース

注目される今週末イタリアで開催のG7、その歴史を振り返る

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

イタリアのタオルミナで26日から27日にかけて先進7か国(G7)首脳会議(サミット)が開催される。前回の伊勢志摩サミットからは今回の主催国のイタリアと、米国、英国、フランスの首脳が変わった。つまりドイツのメルケル首相と日本の安倍首相、カナダのトルドー首相以外の4首脳が初参加となる。

石油ショックによる世界経済の混乱を受けて1973年に、その対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これが先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)と呼ばれるG(Group)がつく国際会議のスタートとなった。

先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議 (G5) で最も有名となったのが、1985年9月22日にG5による為替レート安定化に関する合意、通称プラザ合意であろう。このG5は秘密裏に行われ、当時の蔵相の竹下登は、千葉にゴルフに出かけ1ラウンド、プレーした後、成田空港に向かった。澄田日銀総裁は風邪を理由に予定をキャンセルしマスク姿で駆けつけたそうである。当時のG5は存在自体も認められていなかったようだが、プラザ合意は市場に影響を及ぼすためにあえてG5の存在を明かにさせたとされる。

最初の主要国首脳会議(サミット)は、1975年の日、米、英、仏、西独、伊の6か国によるフランスでのランブイエサミットであった。翌1976年にカナダが加わりG7となる。1998年にロシアが加わりG8となった。

財務相・中央銀行総裁会議については1986年の東京サミットで先進7か国財務相・中央銀行総裁会議、つまりG7がスタートする。1999年にはG7にロシア、中国、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、EU(欧州連合)を加えた財務相・中央銀行総裁会議、G20がスタートした。

2008年にはリーマン・ショックを受けてG20での首脳会議がワシントンで開かれ、サミットの20か国版がスタートする。2014年にはクリミア侵攻をしたロシアがG8から排除されて再びG7に戻る。

かなりややっこしいが首脳会議にはG7とG20があり毎年開催されている。財務相・中央銀行総裁会議にもG7とG20が存在する。首脳会議には首脳のほか財務大臣及び外務大臣などが出席する。1998年からは財務大臣会合及び外務大臣会合などが首脳会合の前に別途開催されるようになった。

世界経済及び為替に関する議論をする財務相・中央銀行総裁会議にはユーログループに属する3か国(独、仏、伊)の中央銀行総裁の代わりに欧州中央銀行(ECB)総裁が出席している。また、欧州委員会代表、EU議長国、IMF専務理事、世界銀行総裁なども参加している。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事