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昨年末時点での日本国債の保有者

久保田博幸金融アナリスト

日銀は3月25日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年末時点で約1741兆円となり、過去最高を更新した。個人の金融資産の内訳は「現金・預金」が前年比1.3%増の約902兆円、「株式等」が2.9%増の約169兆円、「投資信託」は4.1%増の約96兆円となっていた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

保 有 者        国債残高 シェア 前期比増減 単位 億円、%

中 央 銀 行      2,883,416、31.6、200,606

民間の保険・年金     2,315,088、25.4 、4,721

民間預金取扱機関     2,297,047、25.2、-160,317

公 的 年 金       518,218、5.7、-3,659

海     外       488,576、5.4、31,843

投信など金融仲介機関     307,954、3.4、74,023

家     計        135,967、1.5、-8,740

そ  の  他       167,091、1.8、-9,236

合     計      9,113,357、100.0、129,241

2015年9月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は約13兆円増加し、約911兆円となった。このうち日銀が約3割を占め、次に銀行などの民間預金取扱機関を抜いて民間の保険・年金が約232兆円で25.4%、次が銀行など民間預金取扱機関が約230兆円の25.2%となった。

9月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、大量に国債を買い入れている日銀で20兆円の増加となった。次に「投信など金融仲介機関」の7.4兆円増となっている。「投信など金融仲介機関」の内訳をみると「ディーラー・ブローカー」が7.5兆円増となっていたため、ほとんどがディーラー・ブローカーによる増加分となる。次に「海外」の約3兆円増となっている。

9月末に比べて大きく減少したのが、銀行など民間預金取扱機関の約16兆円で、内訳をみると「中小企業金融機関等」が約7.5兆円、「国内銀行」が約6.5兆円の減少となっていた。ゆうちょ銀行や都銀などの残高が減少したと思われる。

短期債を含めた国債全体の数字をみると残高は約1036兆円となり、日銀が約331兆円で32%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高が約110兆円となり、短期債を含めると国債全体の10.6%のシェアとなり、初めて10%を超えた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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