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米国債保有、中国が再びトップに

久保田博幸金融アナリスト

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)を確認してみたところ、2月は2008年8月以来、6年半ぶりに日本がトップに返り咲いていたが、3月は再び中国がトップに返り咲いていた。

2015年3月の米国債国別保有残高の上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

1.中国(China, Mainland) 1261.0

2.日本(Japan) 1226.9

3.石油輸出国(Oil Exporters) 297.3

4.カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs) 293.0

5.ブラジル(Brazil) 261.5

6.ベルギー(Belgium) 252.8

7.アイルランド(Ireland) 214.3

8.スイス(Switzerland) 211.8

9.英国(United Kingdom) 200.6

10.香港(Hong Kong) 180.7

中国はもしや、意地でもトップは日本に譲り渡さないとばかりに、米国債の残高を無理矢理に増やしたのかどうかはわからないが、中国と日本の二強は変わらないことは確かである。他の顔ぶれをみるとなかなか面白いこともわかる。

ロシアや中国が保有している米国債の保有高の一部を表に出さないための調整場として、ベルギーに本社を置く清算機関ユーロクリアが関係しているのではとの観測もあった。そのベルギーは2月から3月にかけて残高を大きく落としている。ロシアは2月から3月にかけてほぼ現状維持なので、もしかすると中国の保有増はここが絡んでいたのかもしれない。

ここにきてアイルランドが再び上位に食い込んでいる。アイルランド危機とも呼ばれた信用危機は収まりつつあることも、この数字が示しているのかもしれない。

そしてランキングは低いものの、インドの米国債の保有残高が2月から1000億ドルの大台に乗って3月はさらに増加させている。順位は香港、台湾、シンガポールなどよりも低いが、まさに伸び盛りといった格好となっている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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