国債先物の取引最終日から受渡決済日までの期間短縮
債券先物と呼ばれている大阪取引所に上場している国債先物には取引最終日がある。先物取引には限月というものが存在し、3月限、6月限、9月限、12月限の4つがある。たとえば2014年12月9日現在、売買は2014年12月限が中心となる。売買が中心となっている限月は中心限月と呼ばれるが、この12月限の最終売買日が12月11日となっている。
12月11日かその前に通常、中心限月は次の限月、つまり今回でいえば3月限に移行する。国債先物では実質的には当日売買高が逆転したタイミングで中心限月が移行したとしてしている(厳密にはイブニング含めた出来高が逆転した翌日から中心限月の移行となる)。
日経平均先物にも最終売買日があり、その日までに反対売買するか、翌日に算出される特別清算指数(SQ値)で損益が確定される。ところが国債先物にはSQ値は存在しない。日経平均先物は差金決済のみで処理されるためSQ値が必要となるのに対し、国債先物は最終売買日までに差金決済されないものは、売り方が現物債を渡し、買い方は現物を引き受けることになる。つまり国債先物は現引き現渡しが存在することでSQ値は存在しない。
この場合の現物債とは長期国債先物については、残存7年以上11年未満の10年利付国債である。現在の金利の状況等から、このなかで最も割安なものが残存7年の10年国債となる。これがチーペストと呼ばれ、この価格に債券先物はほぼ連動することとなる。いわば長期国債先物は7年債の先物ともいえる。
国債先物の受渡日は3月、6月、9月、12月の20日(ただし20日が休業日にあたるときは順次繰り下げ)と決められている。そして限月の最終売買日はこの受渡日(20日)の7営業日前となっている。このため、2014年12月限の売買最終日は12月11日となる。
この売買最終日は、2015年12月限(3月取引開始)から5日前に変更されることになった。これは金融所得一体課税導入に伴う税制改正により、公社債の利子課税が、源泉分離から申告分離に変更となり、いわゆる課税玉・非課税玉がなくなるためである。受渡決済事務処理に関して、最初の2日間に申告する課税・非課税申告が廃止されることによる。
債券の売買に携わっていないと少しわかりにくいかもしれないが、現場にとっては課税玉と非課税玉が存在していたことは決済をしづらくさせていた面があり、それがクリアーされることで、期間短縮が可能となった。
また、この期間短縮には現物国債の決済期間の短縮や、取引に参加する金融機関などの事務処理、特に外国人投資家が受渡しを行う場合の事務処理などが以前に比べて迅速にできるようになったことも影響しているようである。
大阪取引所では、国債先物取引の受渡決済における経過利子の計算方法を変更するとともに、決済リスクの削減及び取引機会の拡大を図る観点から、取引最終日から受渡決済期日までの期間を2日間短縮するとしている。この期間短縮は債券相場そのものにはあまり影響を与えることはないと思われるが、国債先物を多少なり使いやすくさせることになることは確かであろう。