来年のFOMCメンバーとテーパリングの行方
10月29、30日に米国ではFOMCが開催される。年内はあと12月17、18日の会合が予定されている。すでにテーパリング(資産購入規模縮小)の開始の決定は、政府機関の一時閉鎖による経済指標発表の遅れ、さらに一時的なデフォルト懸念も加わっての米経済への影響等を見極めるためにも、年内は難しいとの見方が強い。現在、市場参加者のコンセンサスとなりつつあるのは、来年3月以降との見方となっている。
10月のFOMCでは現状維持が決定されると予想されるが、注目されるのは議論の中身となる。特に政府の財政を巡る攻防の結果の影響がどの程度、景気に反映されるのか。
米大統領経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は22日に、政府機関の一時閉鎖やデフォルト(債務不履行)危機が国内経済に及ぼした影響について、10~12月期の経済成長率を0.25ポイント押し下げ、これまでに12万人の新規雇用が失われたとする比較的厳しい試算を明らかにした(WSJ)。
FRBも同様の試算を試みているとみられ、それを基にテーパリングの開始時期についての判断を行ってくることが予想される。何とか自らの任期中(2014年1月末まで)に、出口への布石を打っておきたかったであろうバーナンキ議長の思惑はかなわず、それはイエレン次期議長に託されることになりそうである。
ちなみに2014年のFOMCで投票権を持つメンバーは、連銀総裁が2013年のセントルイス、シカゴ、カンザスシティ、ボストンから、クリーブランド、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリスの連銀総裁に代わる。
クリーブランド連銀のピアナルト総裁は9月のFOMCで債券購入の規模縮小を決めるのが望ましかったと述べた。フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁も資産買い入れを速やかに縮小する時期に来ているとの認識を示している。また、ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は米国に再び住宅バブルが発生する兆候が見られるとし、FRBによるMBS買い入れに対し慎重な見方を示した(ロイター)。これらに対して、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁は、FRBは自らが示した予測値に基づき、量的緩和の縮小を検討するのではなく一段と拡大すべきだとの見方を示している(WSJ)。
このように新メンバーとなる連銀総裁はテーパリング開始に前向きな姿勢の人が多いが、その舵取りを行うのが、2月から新議長となるイエレン副議長となる。イエレン氏はハト派とされているが、バーナンキ議長同様に自らの主義主張を全面に押し出すことよりも、FOMCメンバーの意向を踏まえた上で、取りまとめを行ってくると予想される。ただし、ここで問題となるのは、そのイエレン氏を補佐する副議長の名前がまだ挙がっていないことである。副議長の人選次第では、バランスが多少変化してくることも予想される。