米政府は、内戦が続くシリアで化学兵器が使われたとして、軍事行動を含む選択肢を検討し、早ければ数日以内に、シリア政府側に対してミサイル攻撃が行われる可能性があると報じられた。中東への米国を主体とした軍事介入といえば、2003年のイラク戦争が思い起こされる。この際もイラクが化学兵器搭載可能なミサイルを保有していたとして、米英はイラクに対する軍事行動を起こしたのである。

アメリカのNBCテレビによると、今回のシリアへの攻撃は3日間に限定したもので軍事力をそぐよりも、アサド大統領に警告を発するためだとしている。しかし、シリアの出方次第では紛争が拡大する懸念もある。

2003年のイラク攻撃にはフランス、ドイツ、ロシア、中華人民共和国などが強硬に反対を表明していたが、今回もロシアや中国などが米英とフランスも含めた軍事行動に反対の姿勢を示すことが予想され、国際問題ともなりかねない。シリア政府の出方次第では軍事介入が拡大する可能性もありうる。

10年前の2003年3月20日に米英軍はバグダッドへの攻撃を開始した。当初、フセイン大統領などを狙ったピンポイントの攻撃だったようだが、その後本格的に空爆が行われ、地上軍もバグダッドめざし進行を開始した。

それではこの10年前に日本では何が起きていたのか。私のコラムを参考に振り返ってみると、2003年3月23日に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞を受賞していた。そういえば今年、同監督の「風立ちぬ」が公開されている。

2003年3月25日に発表された2002年末の国の借金は643兆1945億円と過去最高を記録した。先日8月9日に発表された2013年6月末の国の借金は1000兆円を超えていた。

2003年3月10日には最初の個人向け国債(10年変動)が発行された。これが今年3月に償還を迎えた。国債関係でみると2003年1月に国債のペーパーレス化がスタートしていた。

2003年2月に米国の財務長官にスノー氏が就任、今年2月にはサインで有名なルー氏が米財務長官に就任した。

2003年3月20日に総裁に就任したばかりの福井日銀総裁は、3月25日に臨時の金融政策決定会合を開催。これ以降、矢継ぎ早に手を打ってくる。この日銀の積極緩和(?)もあり、国債は買われ2003年6月に0.430%に長期金利が低下し、その後長期金利は急騰(国債価格は急落)し、これはVaRショックと呼ばれた。

10年前にも積極的な量的緩和政策により長期金利がじりじりと低下し、その後急反発したわけだが、今年も黒田総裁が就任後、異次元緩和を実施してやはり長期金利は0.315%と過去最低を記録し、その後反発している。このあたり10年前ほどではないが、似たような状況となっていた。これに加えて中東への米英の軍事介入となれば、さらに10年前と似た状況となる。歴史は繰り返さないが、同じようなことは起こりうる。相場の先行きを見る上でも、念のため、10年前のことを振り返っておくことも必要なのかもしれない。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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