5月の荒れた債券相場に投資家はどう動いていたのか
日本証券業協会は6月20日に5月の公社債投資家別売買高を発表した。5月の債券相場も4月に続いてかなり荒れた相場となっていた。
簡単に振り返ってみると、5月10日にドル円が100円台に乗せたことをきっかけに債券は再び地合が急変した。5月13日に債券先物は4月5日の安値で下値の節目とも言えた143円10銭を割り込み、相場の地合が完全に変化した。10年債利回りは15日には2012年4月以来の0.9%台乗せとなった。
22日にバーナンキFRB議長は、議会証言後の質疑応答で、景気指標の改善が続けば債券購入のペースを減速させる可能性があると指摘した。バーナンキ発言等を受けて22日の米国債券市場で米債は下落し10年債利回りは2%台に乗せた。
23日の債券先物はサーキット・ブレーカー発動し140円70銭まで下落し、現物10年債利回りは1.000%をつけ昨年4月5日以来の1%台乗せとなった。外為市場でドル円が103円台をつけるなど円安ドル高が進み、これが好感されて日経平均は一時16000円に接近した。ところが、この日に日銀は債券相場の下落を止めようとシグナルオペと市場で呼ばれる資金供給オペを実施、さらに国債入札日にも関わらず国債買い入れをオファーした。これをきっかけに債券先物は買い戻し圧力を強め、債券相場は大きく切り返したのである。
4月の債券市場における最大の売り手は都市銀行であり、中長期債主体に2兆7971億円もの売り越しであった。この都銀は5月も売り越しており、1兆128億円の売り越しに。国債の投資家別売買高でみると超長期を1831億円の売り越し、長期は2329億円の買い越し、中期は8598億円の売り越しとなっていた。
4月に1兆8852億円も買い越していた地銀は5月は差し引きで263億円の売り越し、中期債は買い越すが長期、超長期債を売り越していた。第二地銀も152億円の売り越しとなった。
買い越しの最大手は信用金庫となり、1兆4448億円の買い越し。長期債を6375億円、中期を2634億円買い越していた。信託銀行も1兆3029億円の買い越しとなり、中期債を1兆4470億円買い越していた。長期債は4554億円の売り越し、超長期債は2657億円の買い越しに。農林系金融機関も1兆1005億円の買い越しで、こちらは長期債を4897億円、超長期2810億円、中期も2028億円の買い越しに。
生保・損保は8202億円の買い越しに。超長期は6553億円の買い越しとなり、超長期債の購入を回復させてきた。ちなみに4月の生保による超長期債の買越額は1000億円を割り込んでいた。
外国人は4546億円の売り越し。長期債を7111億円売り越し、中期債を1986億円の買い越しに。