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宮城県 過去最も雨の多かった1か月が終わり 11月らしい気候に

小杉浩史気象予報士 / ウェザーマップ所属
台風19号によって完全に冠水した道路(10月14日角田市内にて著者撮影)

きょうから11月です。実は先月の今頃、私は「今年の秋は雨が少ない。このまま冬も雪が少ないと来春のダムが心配だ。」などと考えていたのですが、そんな私をあざ笑うかのように10月の宮城県は過去最も雨の多い1か月になりました。

記録的大雨をもたらした台風19号とその後の雨

台風19号がやってきた10月11日~13日の総雨量分布図(仙台管区気象台ホームページより)
台風19号がやってきた10月11日~13日の総雨量分布図(仙台管区気象台ホームページより)

原因はもちろん台風19号です。台風19号が上陸・接近した10月12日(土)~13日(日)だけで県内は300ミリ前後の雨が降り、県南では500ミリを超える記録的大雨になりました。

しかもその後もたびたびまとまった雨が降ったことで、宮城県の10月の総雨量は平年を大幅に上回りました。

2019年10月の降水量は、仙台が644.5ミリ、丸森町の筆甫は902.0ミリに達し、平年の4倍から5倍もの数字になりました。

2019年10月の降水量と平年の10月の降水量(著者作成)
2019年10月の降水量と平年の10月の降水量(著者作成)

ちなみに仙台は、1年間の降水量の平年値が約1250ミリですので、10月だけで平年の半年分という、もはや“異常”とも言える量の雨が降ったことになります。

また仙台の月降水量の、これまでの最も多い記録は1994年9月の638.5ミリでしたので、2019年の10月はそれを上回って歴代で最も雨が多かった1か月ということになります。ちなみに仙台以外でも、県内の半数の地点で月降水量の最大記録を塗り替えました。

宮城県にいる方の多くが「もう雨はこりごり」と思っていらっしゃるかもしれません。かく言う私自身、日々そう思いながら天気予報をお伝えしています。

11月は「平年並み」の天候に

ただ11月に関しては、こうした極端な雨量になることはなさそうです。

きのう気象庁が発表した1か月予報によると、東北の日本海側では気圧の谷の影響で降水量がやや多くなる可能性があるものの、宮城県を含む太平洋側はほぼ平年並みの予想です。

10月31日気象庁発表の1か月予報より降水量の予想(気象庁ホームページより)
10月31日気象庁発表の1か月予報より降水量の予想(気象庁ホームページより)

こうした1か月予報などでは、1つ1つの台風や低気圧による雨量までは正確に予想できないため、大雨がないとまでは言い切れませんが、極端に雨の多い月になる可能性は低くなっています。

できることなら、過ごしやすい秋晴れが続いて復旧作業が少しでも前に進んでくれることを願います。

気象予報士 / ウェザーマップ所属

東京都出身。大学卒業後、会社員やフリーターなどを経て、2012年に気象予報士を取得。2015年からミヤギテレビにて気象キャスターとして出演中。趣味はバイクに乗ること、目標は「宮城の天気と言えばこの人!」と言われること。南東北の北東から、天気の怖さと面白さをお伝えします。

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