石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどで構成される「OPECラス」の協議が難航している。7月1日に8月以降の産油政策を決定するための協議が行われたが、合意に達することができなかった。2日の継続協議でも結論が出ず、5日に改めて協議を行う異例の状態になっている。

昨年は新型コロナウイルスのパンデミックで原油需要は壊滅的とも言える被害を受けた。しかし、その後はワクチン接種の普及が進んでいることもあり、日常生活を取り戻し、需要環境が回復し始めた国や地域が増えている。ガソリンや軽油、ジェット燃料などの輸送用エネルギーは着実に回復しており、各国で原油の余剰在庫解消が進んでいる。

こうした中、OPECプラスとしては8月以降にどのような形で協調減産の規模を縮小していくのかを協議している。需要環境の正常化が進んでいることを受けて、有事対応としての協調減産体制の縮小が議論されている。この点については、サウジアラビアやロシアなどが主導する形で、8~12月期に日量200万バレルの減産規模縮小を進めることが合意されている。7月時点では576万バレルの協調減産が実施される予定だが、既にインドなど一部消費国からは原油高に不満の声が強くなっていることもあり、減産による原油需給・価格に対する支援を行う必要性は薄れていると判断されている。

しかし、その一方でOPECプラスは2022年4月末までとされている協調減産体制を同12月末まで延長することを協議している。既に原油価格はパンデミック前の価格水準を大きく上回り始めているが、OPECプラス内では新型コロナウイルスの感染被害が本当に収束に向かうのか慎重な見方も根強く、改めて深刻な原油需給緩和、原油相場の急落が発生する事態を回避するために、需給管理により長期にわたってコミットする必要性が協議されている。特に変異株の広がりがみられることで、今後の需要環境改善に確信を持てていない模様だ。

しかし、OPEC加盟国でもあるUAEは、8~12月期の減産規模縮小には合意したものの、減産期間の延長については難色を示していることで、全会一致を原則とするOPECプラスは合意に達することができず、難しい対応を迫られている。

UAEの主張は単純であり、協調減産の規模を決める際に用いられる「基準産油量(Reference Production)」を引き上げて欲しいというものである。減産期間の延長を行うのであれば、自国の「基準産油量」を引き上げることが、合意の条件になるとしている。UAEのマズルーイ・エネルギー・インフラ相は、経済専門チャンネルCNBCのインタビューにおいて、現在の協調減産の「基準産油量」は、UAEの産油環境が厳しい状況にあった2018年に設定されたものであり、既に産油政策の基準としては適切ではなくなっていると主張している。来年4月までは既に合意されているために履行するが、それ以上の対応を望むのであれば、「基準産油量」の見直しを行ってほしいとの要請になる。

こうしたUAEの主張には一定の正当性があるが、その一方で各国から同様の主張が行われると協調減産体制が崩壊、もしくは大規模な増産が実施されて原油需給・価格環境が急激に悪化するリスクを抱えている。マズルーイ・エネルギー・インフラ相は、取り敢えず8~12月期の減産規模縮小だけを合意して、減産期間の延長問題については改めて協議を行うことを主張しているが、5日の協議の結果次第では原油価格が大きく揺れ動く可能性を抱えている。今後のガソリン価格や電力料金などを見る上でも、無視できない重要なイベントになる。