FRB緊急利下げでも、米株価指数先物は急落で失望広がる

(写真:ロイター/アフロ)

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月15日、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を1.00%引き下げ、0.00~0.25%とすることを決定した。また、今後数週間にバランスシート(保有資産)を少なくとも7,000億ドル拡大すると表明した。今週は17~18日に定例の米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えているが、僅か数日の時間も犠牲にできないと判断した模様だ。今月に入ってから二度目の緊急利下げであり、FRBが現状に極めて強い危機感を抱いていることが再確認できる。

新型コロナウイルスの感染被害が拡大を見せるまでは、多くのFRB当局者が今年は金融政策の大幅な変更はないとの判断を示していた。しかし、刻々と状況が悪い方向に変化する中、あらゆる政策対応を動員する必要があるとの見方に修正されている。

基本的には、マーケットにとって悪いニュースではない。金利水準が引き下げられ、量的緩和(QE)で流動性が供給されれば、資産価格は押し上げられる一方、ドルは押し下げられ、米経済を下支えすることになる。しかし、この発表が行われた直後の東京時間の米株価指数先物は13日終値に対して4~5%程度の急落で反応しており、少なくとも当初の反応は期待されていたようなものではない。

これと同様の反応は3月3日に緊急利下げに踏み切った際にも観測されたが、マーケットはFRBの「緊急利下げ」の動きに対して、逆に危機感を抱いてしまうためだ。実際に前回の緊急利下げから1週間後のダウ工業平均株価は、緊急利下げ後の1週間で6.3%下落している。また、その前の緊急利下げは2008年10月8日に実施されているが、その後の1週間で9.2%下落している。それ以前も含めて、過去の利下げを振り返ると、瞬間的には株価が押し上げられることも少なくはないが、株価のトレンドを反転させるまでのエネルギーはなかったことが確認されている。

1)緊急利下げが有事を意識させてしまうこと、2)今後の政策対応の余地が限られていることに注目が集まってしまうこと、3)どのような政策を講じても不十分と評価される傾向が強いことなどが、理由として考えられる。特に今回は新型コロナウイルスによる経済的ショックへの対応になるが、マーケットでは金融政策は「新型コロナウイルスの治療薬ではない」との評価が優勢になっている。

FRBのみで危機対応ができる状況にはなく、財政出動なども同時進行させることでショックを吸収しつつ、新型コロナウイルスの感染被害が終息に向かうのを待つ他ない状況になっている。

なお、現在の株価急落は2008~09年の世界同時金融危機と比較されることが多いが、当時は株価急落前の最高値から株価が底入れするまで、ダウ工業平均株価は最大で54.4%の急落となっている。一方、今回の新型コロナウイルスでは最高値から3月13日時点で最大28.5%安となっている。