OPECは条件付の追加減産で合意、ロシアに対して「背水の陣」で参加迫る

(写真:ロイター/アフロ)

3月5日に開催された石油輸出国機構(OPEC)総会は、異例の展開を見せた。新型コロナウイルスの感染拡大による供給過剰と原油価格急落への措置として、日量150万バレルの大規模な追加減産が合意されている。OPECの声明では、新型コロナウイルスが「異例の状況」を生み出していることで、リスクの高まりに対応して行動を起こす必要性が指摘されている。一方で、今回の合意はロシアなどOPEC非加盟国の参加を条件としており、実際に追加減産を実施するのかはOPEC非加盟国(特にロシア)次第という曖昧さを残した状況になっている。

3月4日に開催された共同専門委員会(JTC)では、日量60万~100万バレルの追加減産が勧告されていたが、OPECはより強力な施策が必要と判断したことが確認できる。OPECプラスは現在、日量170万バレルの協調減産に加えて、サウジアラビアなどの自主的減産で合計210万バレルの生産調整を実施中だが、今回の合意が実行に移されると、減産枠は360万バレルにまで膨れ上がる計算になる。2008年の世界同時金融危機の際に実施した減産規模420万バレルに迫る動きになる。

OPECとしては、本来であれば事前にロシアなどOPEC非加盟国からの同意を取り付けたい所だったが、直前まで行われた協議でも追加減産に対して明確な支持を得ることができず、「条件付の追加減産合意」という評価が難しい結果になっている。実際に同日の原油相場をみても、当初は追加減産合意のヘッドラインをみて買いが膨らんだが、その後はロシア次第であるとして急速に値下がりする展開になっている。

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過去のパターンだと、事前にOPEC非加盟国との調整が十分に進んでいない場合には、OPEC総会で結論を出すのは避け、翌日のOPECプラス会合に結論を先延ばしするのが通例だった。OPEC総会で出した結論が、OPECプラス会合で覆されるような事態になると、OPECの存在意義さえも問われる事態になってしまうためだ。

それにもかかわらずOPECが「条件付の追加減産合意」という奇手を選択したのは、ロシアに対して追加減産以外の選択肢はないとの考えを強引に突きつけたと解釈できよう。「背水の陣」で、OPECとの協調体制を続けるのか、協調体制を崩すのか、選択を迫ったと言える。

ロシアとしては、1)追加減産を受け入れる、2)追加減産を拒否する、3)規模を縮小した追加減産を受け入れるといった幾つかの選択肢があるが、6日のOPECプラス会合でどの様な結論が出されるのかは、今後の原油価格を占う上で、極めて重要である。

そもそも、日量150万バレルの追加減産で、1~3月期、更には4~6月期の国際原油需給の安定化が実現するのか疑問視する向きも多く、追加減産が合意されても効果は大きくないといった見方も強い。ただ、仮にロシアが追加減産を拒否した場合には、原油市場がパニック状態に陥ることは想像に難くない。最悪の展開は、OPECプラスの枠組みが破綻して、協調減産体制が解消される事態になる。原油価格(ガソリン価格)の急落は、消費者にとっては短期的には好ましい状況かもしれないが、中東の政治経済環境が混乱し、米国でシェールオイル関連企業の経営破たんが多発する事態になると、世界的な金融経済危機に発展するリスクが高まることになる。