OPEC総会から1週間、原油価格はどうなった?

(写真:ロイター/アフロ)

12月5日に石油輸出国機構(OPEC)総会、翌6日にOPEC加盟国と非加盟国(OPECプラス)の会合が行われてから、1週間が経過した。同会合では、OPECプラスとして、来年1~3月期に日量50万バレルの追加減産を行うことなどが合意されたが、その間に原油価格はどのような反応を見せたのだろうか。

原油需給には季節性が存在しており、特に年前半は需要の端境期であるために、原油需給バランスが緩み易い時期になる。このため、2020年上期も大規模な供給過剰が発生し、原油相場は値崩れを起こすのではないかとの警戒感があった。OPEC加盟国の間、特に国営石油会社サウジアラムコの上場手続きに入っているサウジアラビアは、当初から追加減産に意欲を示していた。しかし、市場シェアの喪失を警戒するロシアは、中東産油国との比較で財政面に余裕があることもあり、追加減産に対しては否定的な立場を表明していた。

こうした中、ぎりぎりの調整で協調減産の規模を日量120万バレルから170万バレルまで拡大合意できたことは高く評価できる。サウジアラビアなどは割当量を上回る自主的な減産も継続するとして、OPECの発表では実質的な減産規模は210万バレルに達するとしている。これは20年の世界石油需要推計値の2.1%に相当する規模になる。

では、このOPECプラス会合と前後して原油価格はどのような動きをみせたのだろうか。

国際指標となるNY原油先物価格は、11月29日時点では1バレル=55.02ドルまで下落していた。ロシアのノバク・エネルギー相が追加減産はもちろん、減産期間の延長にさえ否定的な立場を表明したことで、OPECプラス会合で何も合意できない事態が警戒されたためだ。しかし、その後は各種メディアで産油国筋から追加減産で合意できるとの見通しが示されると、OPEC総会前日の12月4日終値では58.43ドルまで値上がりしていた。

こうした状況で12月5日にOPEC総会が開催されたが、同会合では協議や合意内容について明らかにされず、翌日のOPECプラス会合後に発表を行う方針だけが示された。6時間を超える長時間の協議でありながら、記者会見も行われない異例の展開を見せた。このOPEC総会前に開催された共同閣僚監視委員会(JMMC)では、日量50万バレルの追加減産が勧告され、ロシアのノバク・エネルギー相は1~3月期と期間を絞って供給過剰リスクに対応することには理解を示したが、5日終値は前日比横ばいの58.43ドルとなっていた。

この状況でOPECプラス会合が開催されたが、日量50万バレルの追加減産が合意されたことで、12月6日終値は59.20ドル(前日比0.77ドル高)、取引時間中には一時59.85ドルまで値上がりする展開になった。その後は60ドルの節目を前に足踏み状態が続き、58~60ドルのレンジで膠着化していたが、13日に米中が「第一段階」の通商合意に到達したと発表すると60ドルの節目を突破し、サウジアラビア石油施設が武装勢力フーシ派の攻撃を受けた直後である9月17日以来の高値を更新している。すなわち、OPECプラスの追加減産合意では大きな値動きがみられなかったが、米中通商合意で60ドル台に乗せた格好になる。

◆ガソリン、灯油価格の値上がり余地は限定的か

OPECプラスは日量50万バレルの追加減産で合意し、供給過剰リスクに何ら対応を見せない最悪の事態は回避された。しかし、国際エネルギー機関(IEA)はそれを考慮に入れても来年1~3月期には日量70万バレルの供給「過剰」が発生する可能性があるとしており、マーケットでは本当に国際原油需給が安定化するのかは懐疑的な見方も残されている。

また、1~3月期までは協調減産体制が継続されるが、4月以降にどのような枠組みになるのかは3月に再協議が行われることになり、今回合意された減産体制を4月以降も継続できるのかは不透明感が強い。原油価格の水準が切り上がると、米国のシェールオイルやブラジルの深海油田など、今回の合意には参加していないOPEC非加盟国からの増産圧力が強まるのではないかとの警戒感もある。追加減産の合意が間違いなく履行されるのかを見極めたいとのムードもある。OPECプラス会合の結果では、原油価格の急落は回避されるが、急伸も困難というのがマーケットの評価だった。

最終的には、米中通商合意という別の視点から60ドル台に乗せており、当面は原油価格との間に連動性がみられる株価動向に注意が必要である。株価が更に高騰すれば、原油価格がつれ高する可能性は残されている。ただ、今回の米中通商合意では世界経済見通しが劇的に改善する訳ではなく、原油需給の視点ではここから更に大きく上昇する展開までは求められていない。国内ガソリンや灯油価格に対しても若干の押し上げ圧力が発生し易い状況だが、国内石油製品価格が劇的に上昇する可能性は低いだろう。