日米の金融政策会合に備える投資家たち

(写真:ロイター/アフロ)

外国為替市場では、再び円高(ドル安)圧力が強くなっている。7月21日には1ドル=107.50円と約1か月ぶりの円安・ドル高水準を更新していたが、足元では104円台中盤まで急反落している。僅か4営業日で3円前後の円高(ドル安)が進行している計算になる。

今週は、26、27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、28、29日に日本銀行金融政策決定会合を控えているため、大きなイベントを前に最近の円安・ドル高局面で積み上がったドル買い・円売りポジションの調整が行われている模様だ。

特にマーケットで警戒されているのは、日銀への過大な期待が円安という形で織り込まれる中、日銀政策会合後も円安傾向を維持できる可能性が十分にあるのかという警戒感である。日銀が物価基調として重視しているインフレ指標は、軒並み悪化している。企業や家計部門のインフレ期待も軒並み低下し始めており、日銀としては2%の物価目標の早期達成のためには何でもやる方針を示してきた本気度を追加金融緩和という形でマーケットに提示する必要性を迫られている。

このため、多くの市場関係者が今月の追加金融緩和は確実とみており、議論の違いは上場投資信託(ETF)の買い入れ増、マイナス金利の拡大、マネタリーベースの増加ペースの引き上げ、長期国債の買い入れ増加、不動産投資信託(J-REIT)などハイリスク資産の買い入れなど、政策ツールの種類と組み合わせになっている。

しかし、既に追加金融緩和が確実との見方が広がる中、日銀の発表する追加金融緩和策が更なる円安を促すことは難しくなっている。いわゆる「織り込み済」と言われる状態になっているとの懸念がある訳だ。

そもそも、日銀の金融緩和による脱インフレの「限界説」が海外投資家を中心にささやかれ始める中、日銀が追加緩和を打ち出しても円安・株高効果は限定的との冷静な見方が増えている。こうした中、日銀が市場の想定を上回る緩和策を打ち出せないとなると、これまでの期待が失望に転換する形で、急劇な円高・株安圧力に晒される可能性がある。そしてその可能性は決して低くないとの見方が、改めてドル/円相場の上値を圧迫し始めている。

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■実は重要なドル高の持続力

こうした中で数少ない円安材料と言えるのが、実はドル相場の動向である。為替相場は通貨の交換レートであり、ドル高が続けば必然的に円安が実現することになる。

米経済は幾つかの不安要素を抱えつつも着実な成長路線を維持する中、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内にも昨年12月以来となる追加利上げに踏み切るのではないかとの観測が広がっている。実際に、ドルインデックスをみてみると、6月下旬には93ポイント水準だったのが、足元では97ポイント水準まで上昇している。実は、1ドル=100円割れ後の急激な円安(ドル高)は、日銀の追加緩和への期待感ではなく、ドル高がもたらした円安とのロジックも成立し得るのだ。

そして、上述のように6月26、27日にはFOMCが開催され、ここで米国の追加利上げ期待が更に高まるような事態になると、円サイドの動向とは関係なく更に円安・ドル高が進む可能性もある。

ただ、こちらも金利先物市場などでは年内追加利上げの可能性を既に50%前後の確率まで織り込んだ状態にあり、ここから更にFRBの利上げ期待を高めていくことは難しくなっている。米国サイドでドル高是正(=ドル安)が進むと同時に、日本サイドで円高が進行すると、東京市場では円高・株安が勢いづく可能性もあるだけに注意が必要である。

日銀の追加緩和の有無ばかりが注目されているが、実は日銀の金融政策決定会合前に、米国の金融政策会合で今後のドル/円相場の行方は決定付けられている可能性もある。そして、29日には4~6月期の企業決算発表の集中日でもあり、これから週末に向けて外国為替市場や株式市場の投資家には目が離せない数日が続くことになる。

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