ガソリンは10週連続の値上り、先高感を示す海外原油動向

(写真:アフロ)

資源エネルギー庁が5月18日に発表した「石油製品価格調査」によると、レギュラーガソリンの全国平均小売価格(5月16日時点)は1リットル当たりで前週比0.8円高の118.0円となった。3月14日の週から10週連続の値上がりとなり、112.0円をボトムに累計6.8円(6.1%)の値上りになっている。これは1月12日以来の高値水準になる。

為替市場では年初から急激な円高圧力が発生しているが、それ以上に海外原油価格が上昇する中、円建ての原油調達コストが値上がりしていることが末端のガソリン小売価格も押し上げている。

東京商品取引所(TOCOM)のドバイ原油(当限)は、1月18日の1キロリットル1万8,650円をボトムに、16日終値では3万円ちょうどまで値上がりしている。原油調達コストだけで60.9%の上昇となる中、コスト転嫁の動きがガソリン価格を押し上げている。

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■5月は海外原油相場が一段高に

しかも、5月に入ってからドル建ての海外原油相場は更に高値を更新する動きを見せており、月末に向けて国内ガソリン価格はもう一段階の値上りが警戒される状況になっている(参考:原油価格が半年ぶりの高値更新)。カナダのオイルサンド生産地における森林火災、ナイジェリアのニジェール・デルタと言われる産油地帯で武装勢力が石油関連施設を攻撃していることなどが、国際原油市場に新たな混乱をもたらしている。

2016年下期は油価低下でコスト割れしたシェールオイルの減産によってぎりぎりで需給均衡状態が実現するか否かが議論されていた所、世界各地で供給トラブルが同時発生していることが、「過剰供給状態」から「供給不足状態」への転換を加速させかねない状況になっている。実際に大規模な供給トラブルが継続するのかは不透明な部分も多いが、2016年は米国のシェールオイルで日量70万~80万バレルの減産が発生すれば下期の国際原油需給バランスの均衡状態が実現する可能性が指摘されていた所に、カナダで日量100万バレル、ナイジェリアで50万バレル規模の減産圧力が発生しているのが現状である。

仮に、このままカナダとナイジェリアの供給トラブルが続くのであれば、シェールオイルが十分な減産対応を迫られなくても国際原油需給は均衡状態を取り戻すことになり、必然的に原油価格低迷の必要性は消滅することになる。

余程の強力な円高圧力が発生しない限りは、原油調達コストは夏の行楽シーズンに向けて上振れし易く、ガソリン価格についてもじり高傾向が続く可能性を想定しておく必要がある。2014年後半の原油相場が急落する前の160~170円といった価格水準が実現するには時間が必要だが、ガソリン価格の値下り局面は終わり、今後は緩やかなガソリン高時代を想定しておくべきかもしれない。

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