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NY金28日:反落、クリスマス休暇明けで売り再開

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比7.60ドル安

始値 1,075.20ドル

高値 1,076.50ドル

安値 1,065.70ドル

終値 1,068.30ドル

原油相場の軟化が嫌気され、反落した。

クリスマス休暇中の為替相場はややドル安気味に推移したが、連休明けで年末に向けて改めて売りポジションを構築する動きも強く、終日上値の重い展開になっている。アジアタイムは1,070ドル台での取引になっていたが、欧州・ニューヨークタイムと断続的に値位置を切り下げ、一時は1,065.70ドルを記録している。その後は引けにかけて下げ一服となったが、反発力は限定された。

引き続きファンダメンタルズよりも需給主導の相場展開になっているが、クリスマス休暇前に買い戻しやリバウンド狙いの買いが膨らんでいた反動が、金相場の上値を圧迫している。クリスマスまでに売りポジションの利食い売りを進める動きが目立ったことで、来年に向けて改めて売りポジションを構築する動きなども報告されている。足元ではドルが反落するなどポジション調整中心の展開になっているが、米国の利上げ局面入りが予定される中、来年も現行価格を維持できるのか疑問視する向きが多かった。

一方、香港通関によると、11月の香港経由の中国金輸入量は79.003トンとなった。前月の71.581トンから急増している。人民元建て金相場も上値の重い展開を強いされる中、需要がある程度は刺激されたことが窺える。ただ、中国の金需要に対する期待感を大きく高めるレベルではなく、マーケットの反応は限定された。

年末までのカウントダウンが始まる中、今週も不安定な地合が続き易い。やや金相場の買戻しには一巡感も見られるが、なおドル安傾向が目立つ中で、金相場のみが急落する必要性は高まっていない。来年に向けて積極的に売買を仕掛ける動きも鈍く、この時期の値動きに一喜一憂する必要性は乏しい。もっとも、ことしの金相場を大きく押し下げた環境が好転している訳ではなく、戻り局面は従来通りに売り場になる見通し。チャート上では1,050ドル水準で二番底を形成しつつあり、目先はこのまま現行価格水準で方向性を欠いた展開になり易い。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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