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NY金23日:続落、ドル安環境も戻り売り優勢

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比5.80ドル安

始値 1,072.00ドル

高値 1,074.90ドル

安値 1,067.60ドル

終値 1,068.30ドル

為替市場ではドルが総じて軟調に推移したが、前日に続いて戻り売りが優勢となり、続落した。

アジアタイムに1,070ドル台前半での揉み合いになったあと、欧州タイム入り後に1,070ドル台を割り込む展開になった。特に目新しい材料はなく、為替はドル安傾向が強かったが、クリスマス休暇前の売りポジション整理に一巡感が強くなったこともあり、戻り売り優勢に。ただ、敢えて積極的に売り込むような動きまでは鈍く、大きな値動きには発展しなかった。ドル安環境にあって上値が抑えられたことは弱気筋にとっては好感できる動きだが、ニューヨークタイムは1,060ドル台後半での小動きに終始しており、なおクリスマス前のポジション調整との評価に留めざるを得ない。

11月の個人所得は前月比+0.3%となり、8ヶ月連続のプラスで市場予測+0.2%も上回った。雇用環境の改善で個人消費環境の改善が進んでいることが窺える。賃金・給与は前月の+0.6%に続いて+0.5%となっており、「賃上げ→低インフレ解消」という米連邦準備制度理事会(FRB)が期待している波及経路が実現していることを示唆している。こうした統計は、FRBの継続的な利上げスタンスを支持することになるが、マーケットの反応は総じて限定された。

既に年内の相場は終わった感が強く、ポジション調整中心のボラタイルな展開になり易い。足元ではややドル安傾向が目立つが、利上げ着手を受けてのドル安基調への転換というよりも、現時点ではポジション調整の意味合いが強く、過剰反応は不要だろう。金相場を取り巻く環境が好転している訳ではなく、年末が近づく中での一時的な調整高との理解で十分と考えている。チャート上では1,050ドル水準で二番底を形成しつつあり、目先はこのまま現行価格水準で方向性を欠いた展開になり易い。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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