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NY原油11日:OPECからの増産圧力確認で、安値更新が続く

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比0.40ドル安

始値 37.27ドル

高値 37.54ドル

安値 36.52ドル

終値 36.76ドル

石油輸出国機構(OPEC)12月月報でOPECの11月産油量が約3年ぶりの高水準になったと報告されたことが嫌気され、続落した。為替がドル高方向に振れたこともネガティブであり、安値更新局面が維持されている。

アジアタイムは37ドル台中盤で揉み合う展開になったが、欧州タイム入り後は再び37ドル割れを打診する動きが強まり、36ドル台までコアレンジを切り下げている。12月8日の36.64ドルを下抜き、年初来安値を更新している。ただ、そこから更に下値を試すような動きまではみられず、ニューヨークタイムは36ドル台中盤での揉み合いとなる場面が目立った。

OPEC月報によると、11月のOPEC産油量は日量3,170万バレルとなり、前月から23万バレルの増産になっている。サウジアラビアが若干の生産調整に踏み切っているが、イラクが積極的な増産を行っており、OPEC全体としての産油水準は2012年4月以来の高水準に達している。12月4日のOPEC総会を前に生産調整の議論が活発化していたが、こうした中にあってもOPEC加盟国は積極的な増産政策を展開していたことが確認でき、需給緩和状態の解消が難しいことが強く示唆されている。

OPECからは、非加盟国の産油量が2016年に日量38万バレル減少するといった見通しも示されているが、なお国際需給バランスが均衡化を取り戻す目途が立たない中、原油相場に対する売り安心感を払拭するには至っていない。明日は国際エネルギー機関(IEA)の月報も発表されるが、ここで改めて需給緩和に強い懸念が表明されると、原油相場は一段と下押しされるリスクがあることに注意が必要。

原油安に政策的な対応を望めない以上、更に原油安を進めて協調減産を促すか、高コストのタイトオイルに減産を迫ることが要求される。国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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