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NY金10日:ドル反発で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比4.50ドル安

始値 1,071.70ドル

高値 1,076.00ドル

安値 1,068.80ドル

終値 1,072.00ドル

為替がドル高方向に振れたことが嫌気され、戻り売り優勢の展開になっている。

前日はドル安連動で小幅続伸していたが、本日はアジアタイムからドル高圧力が強く、1,070ドル台前半を中心に上値の重い展開になった。ただ、積極的に売買を仕掛けるような動きまではみられず、大きな値動きには発展しなかった。引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手に対する警戒感が金相場の上値を圧迫するも、下値を攻めきれない中途半端な相場展開になっている。

前週の欧州中央銀行(ECB)理事会、そして11月雇用統計発表後は為替市場でドル高・ユーロ安是正の動きが強く、こうした通貨環境の変化が金相場の水準切り上げを促している。積極的にドル売り・ユーロ買いを進めるような動きまでは確認できていないが、本日もECBのメッシュ専務理事が先週のECB理事会で大半が量的緩和の拡大を望んでいなかったことを明らかにするなど、ユーロ安(ドル高)是正圧力を完全に払拭するには至っていない。このため、金相場は為替相場の動向を眺めながらの不安定な地合になり易く、戻り圧力には一服感があるものの、下値を攻めきれない中途半端な状況にある。

もっとも、本日は株式相場が上昇に転じ、ドルも堅調に推移する中、素直に売り優勢の展開になっている。引き続き原油相場の急落が金融市場に混乱をもたらすリスクが警戒されるが、このまま落ち着きを取り戻していけば、少なくとも上昇余地は限定されよう。

FOMC、クリスマス休暇を控えてボラティリティが高まり易くなっているが、特に現物需要主導で安値是正を進めるような動きもみられず、引き続き戻り売り対応が基本になる。金上場投資信託(ETF)市場に対する資金流入も確認できない。これまでの下げ幅を考慮すれば自立反発でも1,100ドル水準まで戻すエネルギーはあると考えているが、ドルに対する信認回復の大きな流れに変化がなければ、一時的な戻り圧力の有無との視点に留まろう。改めて1,050ドルの節目割れが打診される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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