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NY金9日:ドル安継続で小幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金2月限 前日比1.30ドル高

始値 1,074.30ドル

高値 1,085.00ドル

安値 1,068.70ドル

終値 1,076.50ドル

為替相場がドル安方向に振れる中、小幅続伸した。

特に目新しい材料などは見当たらなかったが、為替市場でドルが弱含みに推移する中、金価格の下値はサポートされている。アジアタイムは1,070ドル台後半での揉み合いになったが、ニューヨークタイムには一時1,085.00ドルまで買われている。もっとも引けにかけては戻り売りで下押しされ、結果的には前日終値とほぼ同水準で引けている。

来週15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているが、金価格の値動きは鈍い。4日に発表された11月米雇用統計が良好な内容になったことで利上げ着手が確実視される状況になっているが、その後の金利上昇軌道は緩やかなものに留まるとの見方から、本格的にドル買い・金売りを進めるような動きまではみられない。金相場の上値が重い状況に変化はみられないが、原油相場の急落で投資家のリスク回避の動きが強いこともあり、「安全資産」としての退避需要も金相場をサポートしている。

当然に原油安をきっかけに国際政治経済環境が大きな変調をきたせば、金相場が買われる余地はある。その意味で、株価動向には注意が必要である。ただ、原油安が大手資源会社の経営破綻、ハイイールド債市場のデフォルト多発といった事態を招かないのであれば、本格的にリスクオフを進める余地は大きくなく、金相場の上昇余地は限定されよう。

FOMC、クリスマス休暇を控えてボラティリティが高まり易くなっているが、特に現物需要主導で安値是正を進めるような動きもみられず、引き続き戻り売り対応が基本になる。これまでの下げ幅を考慮すれば自立反発でも1,100ドル水準まで戻すエネルギーはあると考えているが、ドルに対する信認回復の大きな流れに変化がなければ、一時的な戻り圧力の有無との視点に留まろう。改めて1,050ドルの節目割れが打診される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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