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NY原油8日:小幅続落、OPEC総会の余波が続く

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比0.14ドル安

始値 37.68ドル

高値 38.58ドル

安値 36.64ドル

終値 37.51ドル

引き続き過剰供給への警戒感が強く、上値の重い展開になっている。

特に目新しい進展はみられないが、12月4日の石油輸出国機構(OPEC)総会で原油安への対応が見送られたことが嫌気され、改めて投機売りが膨らみ易い地合になっている。アジア・欧州タイムは37ドル台後半での取引になったが、ニューヨークタイム入り後は一時36.64ドルまで急落するなど、戻り売り圧力は強い。ただ、引けにかけては為替がドル安方向に振れたこともあり、下げ幅が圧縮されている。

OPEC総会に関しては、サウジアラビアがサプライズ的に協調減産に合意するといった見方もあったが、実際には様子見スタンスが維持されることになっている。サウジはロシアなどからの協力が得られれば減産対応にも前向きな姿勢を示しているが、国際協調網の構築は遅れており、今会合ではOPEC全体としての生産目標値の設定さえも見送られている。このため、更に産油国が危機感を強める原油価格が必要との見方が、原油相場を下押ししている。

インドネシアなどからは高コスト原油の生産調整の必要性が訴えられているが、いずれにしても減産ペースを加速させるためには原油安が要求されている。ここ最近はシェールオイルの減産ペースも鈍っており、40ドル台では十分な需給調整が進まないとの見方が、原油相場のダウンサイドリスクを高めている。

国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。OPECが原油需給・価格に再び責任を持つような大規模な政策転換は見送られた以上、このまま下押し圧力の強い相場展開が維持される見通し。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。ブレント原油も40ドルの大台を割り込んでおり、WTI原油は40ドル割れ定着が打診されよう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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