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NY原油27日:ドル高、過剰供給懸念で下落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油1月限 前日比1.33ドル安

始値 43.25ドル

高値 43.30ドル

安値 41.67ドル

終値 41.77ドル

ドル高や過剰供給に対する懸念が強く、期近主導で下落した。

アジアタイムから戻り売り圧力が強く、終日じり安の展開になった。為替相場がドル高方向に振れたことに加えて、今週は安値是正の動きが目立っていたことで、週末を前に買いポジションの整理が進んだ模様。本格的に売り込むような動きまでは見られなかったが、戻り圧力は一服している。

需給面では、ロシアのノバク・エネルギー相がサウジアラビアなどとの協調減産の可能性を否定したこともネガティブ。12月4日には石油輸出国機構(OPEC)総会が控えており、サウジ側からは市場の安定化のためにOPEC加盟国・非加盟国と協調する用意があることが示されている。このため、一部ではサウジが何らかの市況対策で協調姿勢を示す可能性も警戒されていたが、ロシア側の協力が得られない中では、今回のOPEC総会で政策変更が行われる可能性は低いだろう。

中国株が前日比で5%超の急落になっていることもネガティブ。コモディティ市場に対する直接的なインパクトは限定されているが、中国金融市場がなおショックに脆弱な環境にあることが再確認される中、原油市場の上値も圧迫されている。中国株の急落については証券会社に対する調査が直接的なきっかけであり、必ずしも中国経済のファンダメンタルズに大きな変化が生じている訳ではない。ただ、投資家のリスク選好性が後退する中、原油市場のマインドにもネガティブな影響が確認されている。

40ドルの節目にサポートされて短期リバウンド局面を迎えたが、なお需給リバランスの完結見通しが立ちづらい状況にある中、下値不安が大きい相場環境が続く見通し。地政学的リスクの影響は限定される一方でドル高圧力は継続しており、北米で厳しい寒波が観測されるといったポジティブ材料が浮上しない限りは、反発余地は限定されよう。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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