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NY原油3日:米製油所稼働率の上昇観測で、反発

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比1.76ドル高

始値 46.11ドル

高値 48.36ドル

安値 45.96ドル

終値 47.90ドル

米製油所稼働率上昇に対する警戒感が強く、期近主導で反発した。

アジア・欧州タイムは46ドル台前半での取引が目立ったが、ニューヨークタイム入り後はドル高に逆行して地合を引き締め、一時は48ドル台を回復している。10月27日の42.58ドルをボトムに、10月13日以来の高値を更新している。

明日に米週間需給統計の発表を控えているが、原油在庫の積み増し傾向は維持される一方で、製油所稼働率は上昇傾向を維持するとの見方が、期近限月の上値を圧迫している。なお在庫は明らかな過剰状態にあるが、今週の統計でも製油所稼働率の上昇が確認できれば3週連続の上昇となり、米国内における在庫積み増し傾向にはブレーキが掛かる可能性が高まる。10月中旬から下旬にかけての原油安は、米国内の原油在庫増加傾向が一因になっていただけに、売り材料の一つが解消されるとの見方が、短期筋のショートカバー(買い戻し)を誘っている。もっとも、前年同期を1億バレルも上回る在庫環境において、原油相場が本格上昇する必要性は乏しい。あくまでも、これまでの在庫減少傾向と連動した買い圧力に対する修正局面との理解で十分と考えている。

一方、リビアでは治安悪化で一部輸出ターミナルの稼動停止が発表されている。リビア国営石油会社(NOC)は日量7万バレル程度の供給減少要因になる可能性を示している。概ね昨年から続くレンジ内の動きとあってサプライズ感はないものの、心理的には一定の支援材料になっている。

全般的に手掛かりが乏しいが、米製油所稼働率が重視される相場展開が維持されている。市場予測通りに稼働率の低下が確認できれば、短期スパンでは50ドル台回復を打診する可能性も想定しておく必要がある。ただ、そこから60ドル、70ドルと上値を切り上げていくようなエネルギーを認めることは難しく、底練りの相場展開という基本フレームの中における修正高と理解している。ここから更に急伸するような動きが出てくれば、再び売り妙味が高まろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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