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NY金29日:FOMCを受けて急落、年内利上げへの警戒感

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比28.80ドル安

始値 1,156.10ドル

高値 1,162.50ドル

安値 1,146.80ドル

終値 1,147.30ドル

前日引け後の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文がタカ派と評価される中、急落した。

FOMC声明発表前は1,175~1,180ドル水準での取引になっていたが、声明文発表後に一気に1,155ドル水準までの急落になった。マーケットでは年内利上げ見送り観測が強かったが、FOMCでは必ずしも年内利上げの可能性も排除されていないことが示されたことで、買い玉整理の動きが活発化した。その後はアジアタイムに自律反発的な動きも見られたが、1,160ドル台を回復するのに精一杯。欧米タイムは改めて売り込まれる展開になり、一気に1,150ドルの節目も下抜いた。

FOMC声明では、次回の会合で利上げ着手が適切か否かを精査する方針が明記されている。あくまでも雇用やインフレ状況の進展次第になるが、12月15~16日の次回FOMCまでに米経済環境に大きな変調が生じなければ、年内利上げ着手の可能性も十分にある状況になっている。

これはニューヨーク連銀ダドリー総裁などの発言内容を再確認するレベルの議論だが、マーケットでは事前に年内利上げはほぼ不可能との見方を織り込んでいたこともあり、その反動がドルにフレンドリーとなり、代替通貨である金価格を改めて押し下げている。FF金利先物市場では、年内利上げ着手の確立は46.5%まで織り込まれており、なお利上げ見送り予想の方が優勢ながらも、FOMC前後で金利予想環境は一変している。

9月下旬から10月にかけてはヘッジファンドが金価格の底打ち予想で買いポジションを急増させていたが、今後はこうした買いポジションに損益確定の手仕舞い売りを迫る形で、下値追いの展開が想定される。1,150ドルの節目を下抜いたが、ドルインデックスやCRB商品指数の水準を考慮すると、1,100ドル割れを打診する流れとなる可能性が高い。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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