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NY金27日:小幅安、FOMCを控えて様子見ムード

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比0.40ドル安

始値 1,163.00ドル

高値 1,168.80ドル

安値 1,160.50ドル

終値 1,165.80ドル

米連邦公開市場委員会(FOMC)がスタートする中、明日発表される声明文の内容を見極めたいとのムードが強く、小動きに終始した。

イベント前になるが、アジア・欧州タイムはやや安値是正の動きが優勢になった。ここ2週間はドル高連動で調整売りが膨らんでいたこともあり、ポジション調整の動きが買い戻しにつながった模様。その後は9月米耐久財受注や10月消費者信頼感指数が低調だったことで買いが膨らむ場面も見られたが、ドル高・原油安環境にあって積極的に上値を試すような動きはみられず、概ね前日終値と同水準で引けている。

FOMCであるが、当局者の発言がまちまちになっていることで、どのような内容になるのか不透明感が強い。今会合での政策変更が行われる可能性は極めて低く、12月会合での利上げ予想も少数派になっている。ただ、一部の米金融当局者からは年内利上げを支持する発言が相次いでいることも事実であり、今会合で12月利上げに向けての前進が見られるリスクが警戒される。もっとも、ベージュブックでは米経済活動が緩慢化していることが報告されており、景況判断などについては9月会合時点よりもネガティブなものになる可能性が高い。最近の米金融政策環境においては、今後の金融政策の手足を縛るような動きは見送られる可能性が高い。

既に年内利上げ見送りを高レベルに織り込んでいるマーケットであり、FOMCを手掛かりに改めてドル相場安・金相場高が進むリスクは限定されよう。非米国圏での金融緩和圧力が強くなっていることもあり、ドル高連動で緩やかなペースで下値切り下げを打診する展開が続く見通し。CRB商品指数も8月27日以来の安値を更新しており、コモディティ市場全体から改めて投機マネーの流出傾向が強くなっている。ドルや他商品市況と比較して金価格の割高感は強くなっており、下落余地は大きい。本格的なダウントレンド再開には、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化プロセスに対する信認を高めていくことが要求されるが、まずはFOMC、そしてその来週の10月雇用統計でダウントレンドを確立できるのかが試される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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