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NY原油23日:ドル高と過剰供給に対する警戒感が強く、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比0.78ドル安

始値 45.44ドル

高値 45.75ドル

安値 44.20ドル

終値 44.60ドル

ドル高と過剰供給に対する警戒感が強く、反落した。

アジア・欧州タイムは45.50ドル水準で揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入り後に急落した。中国の追加金融緩和は殆ど材料視されず、ドル高連動で45ドルの節目も割り込んでいる。米国内の過剰在庫に対する警戒感も根強く、戻り売り優勢の展開になっている。その後は週末を控えて下げ一服となるも、戻りを試すような動きは限定された。

中国政府は金融緩和で景気を下支えする姿勢を鮮明にしているが、原油相場では若干の買いが入った程度であり、大きな動きは見られなかった。中国経済のハードランディング回避に向けた動きと言う意味ではポジティブ材料だが、そもそもが中国経済が大幅に悪化しているのが原因とあって、これで原油需要見通しが改善したと評価する向きは殆どいない。

逆に、中国の利下げがドル回帰の動きを促す中、ドル高がドル建て原油相場を大きく下押ししている。世界的に景気減速への対応で緩和策強化が促される中、利上げ着手時期に不透明感が強くなっているとは言え、ドルの優位性が再評価されている。ドルインデックスは今月の最高値を更新しており、こうした中で原油相場を押し上げるようなエネルギーは乏しかった。

米石油リグ稼動数は前週比-1基の594基となっており、減少傾向は続いているものの、大きな動きには発展しなかった。9月以降の原油相場が下げ一服となっている影響が顕在化している可能性があり、来週以降の統計に注意が必要。

引き続き過剰供給に対する懸念が強く、特に季節要因から米原油在庫に対する積み増し圧力が強まる中、原油相場の下値不安は大きくなっている。ドル高回帰の動きが見られることも協力な上値圧迫要因であり、40ドル割れを打診する展開が維持されよう。ただ、40ドル水準ではシェールオイル生産が持続困難なことが再確認される中、40ドル割れからの深追いは避けるべきだろう。瞬間的には大きく下押しされる可能性も残されているが、これ以上の安値は持続可能性が乏しい。35~60ドル水準をコアとした安値ボックスを想定しており、突っ込んだ局面では逆に買い拾っても問題はない。短期スパンで戻り売り対応を継続し、突っ込んだ局面で押し目買い優勢の地合に転換する見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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