NY金23日:ドル急伸で小幅続落、中国利下げで買いが膨らむも
COMEX金12月限 前日比3.30ドル安
始値 1,165.90ドル
高値 1,179.40ドル
安値 1,158.60ドル
終値 1,162.80ドル
為替相場がドル高方向に振れたことが嫌気され、続落した。
アジアタイムから週末を控えてのショートカバー(買い戻し)が優勢になったが、欧州タイムに中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率引き下げなどの追加緩和措置を発表したことで、一時1,179.40ドルまで急伸した。ただ、ニューヨークタイムに入るとドル高連動でも戻り売り圧力が強まり、一気に1,158.60ドルまで20ドル幅の急落になっている。その後は自律反発的な動きも見られたが、引け値ベースでマイナス圏から抜け出すには至らなかった。
中国は金融緩和の形で深刻化する景気減速に歯止めを掛ける姿勢を鮮明にしている。利下げは、昨年11月以降で6回目になる。預金金利の上限撤廃で金利自由化も進展させており、中国政府が本格的な景気減速に対抗する強い意思を示した格好になっている。こうした動きは、中国経済がマーケットの想定以上に悪化しているリスクを示すことになるが、本日のマーケットではリスク資産に対してポジティブな動きと、素直に好意的な評価を下している。このため、金価格の押し上げ効果は一時的なものに留まり、逆にドル高連動で下値追いの展開になっている。
欧州中央銀行(ECB)が12月にも追加緩和に踏み切る可能性を示唆しているが、中国も積極的な金融緩和策を打ち出した格好になる中、世界の投機マネーが改めてドルを志向している。米国に関しても利上げ着手時期について明確な見通しが描きづらい状況にあるが、それでも追加緩和を志向する動きが世界的に広がり始める中、ドルの優位性は明らかである。ドルインデックスは7日続伸しており、これがそのままドル建て金相場の上値を圧迫している。ドルとの比較では、1,100ドル台割れを打診しても全く違和感のない状況にあり、これと現在の値位置との格差が、米国の金融政策の不透明感に伴うプレミアムとの見方で良いだろう。
ドル高回帰の動きが強まる中、金相場は戻り高値を確認した可能性が高まっている。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)がいつ利上げに着手するのかは不透明であり、27~28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとする向きも多い。ただ、既に利上げ先送り観測は十分に織り込んだ状況になっており、ここから更に上値を切り上げる余地は多く残されていない。改めて売り込むには米金融政策の正常化プロセスに対する信認を取り戻すことが必要不可欠だが、まずはFOMC、そしてその来週の10月雇用統計でダウントレンドを確立できるのかが試される。