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NY原油19日:中国経済減速、サウジ在庫増加を嫌気し、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比1.37ドル安

始値 47.27ドル

高値 47.49ドル

安値 45.85ドル

終値 45.89ドル

引き続き過剰供給に対する警戒感が強く、反落した。

中国の7~9月期国内総生産(GDP)は市場予測を下回るも、上期に対する景気減速傾向が再確認されたことが嫌気され、アジアタイムから終日売り優勢の展開になっている。中国の7~9月期GDPは前期比年率+6.9%であり、4~6月期の+7.0%は下回ったものの大幅に悪化している訳ではない。ただ、改めて新興国経済の鈍化が材料視され、原油相場は売りで反応している。

21日に石油輸出国機構(OPEC)の技術会合を控える中、イランは原油価格を70~80ドルまで押し上げるための減産を呼び掛けた。既にベネズエラも80ドルまで原油価格の下限を切り上げる必要性を訴えているが、減産主張の声が強くなっていることが確認できる。ロシアもこうしたOPECの動きに一定の理解を示しており、サプライズ的に協調減産実現に向けての動きが見られるリスクに注意が必要。ただ、仮に総論で減産を合意したとしても、それを実行に移すハードルは高い。また、価格が上昇すればシェールオイル生産に改めて増産圧力が強まるのは必至であり、継続的な原油高への誘導が困難な状況に変化は見られない。

JODIは、サウジアラビアの原油在庫が8月時点で3億2,660万バレルになったと発表した。これは少なくとも2002年以来の高水準と報告されており、サウジの積極的な増産策が進む一方で、輸出がこうした増産に対応できていないことを示唆している。在庫の積み上がりは、目先の販売価格引き下げ圧力につながる可能性もあるため注意が必要。

基本的にはOPEC技術会合は無風通過を想定しており、原油相場の戻り売り基調には変化がないと考えている。目先は過剰供給懸念を織り込む必要性が高く、再び40ドル台を割り込んでも違和感がない。ただ、シェールオイルの採算ラインに到達する中、そこから更に大きく原油安を進める必要性は乏しく、40ドル台を完全に割り込むような動きが見られるのであれば、リバウンド狙いで買いを入れても問題ないとみている。35~60ドル水準をコアとした安値ボックスを想定している。短期スパンで戻り売り対応を継続し、突っ込んだ局面で押し目買い優勢の地合に転換する見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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