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NY原油30日:月末・四半期末のポジション調整、期近安・期先高に

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比0.14ドル安

始値 44.92ドル

高値 45.85ドル

安値 44.68ドル

終値 45.09ドル

期近安・期先高とまちまちの展開になった。月末・四半期末を意買えてポジション調整中心の展開になっている。

米エネルギー情報局(EIA)から週間需給統計が発表されているが、強弱まちまちの評価に留まっている。全米原油在庫は前週比+395.5万バレルの4億5,792.4万バレルとなり、改めて在庫積み増し圧力が強くなっていることが再確認されている。ただ、米国内産油量は前週の日量915.2万バレルから912.1万バレルまで落ち込んでおり、シェールオイルの生産環境悪化が続いていることも確認されている。米産油量は前年同期の878.3万バレルにも近づき始めており、このペースで減産圧力が続くと年内に前年比マイナス状態に陥るリスクも警戒されることになる。

もっとも、在庫が前年同期を約1億Bu上回っていることからも明らかなように、需給にタイト感はみられない。逆に供給過剰の長期化リスクに対する警戒感も強く、なお上値追いには慎重姿勢が目立つ。シェールオイルの減産は間違いなくポジティブだが、これで十分な需給リバランスが進むのかは不透明感が強く、原油相場は方向性を欠いている。9月は40ドル台中盤をコアとしたボックス相場に留まったが、これも売り買いともに決め手を欠いていることを象徴している。

基調としては、なおボトム確認には慎重姿勢が求められると考えている。過剰供給是正のためにはシェールオイル生産に断続的にダメージを与える必要性があり、今後はイラン産原油が市場復帰するための増産余地を作り出すことも要求される。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げでドル高が進行すれば、当然にドル建て原油相場に対してはネガティブである。60ドル水準が近づけばシェールオイルは逆に増産傾向を強める可能性が高く、安値低迷をメインシナリオに下振れリスクを残した相場展開が続く見通し。

マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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