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NY金3日:米雇用統計の発表を控えるも、ドル高継続で続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比9.10ドル安

始値 1,133.20ドル

高値 1,133.80ドル

安値 1,121.00ドル

終値 1,124.50ドル

為替市場でドル高が継続したことが嫌気され、続落した。

中国市場が抗日戦勝行事で休場となる中、アジアタイムは1,132~1,134ドル水準の狭いレンジで方向性を欠く展開になった。ただ、欧州タイム入り後はドル高連動で地合を悪化させ、大きくマイナス圏に沈んでいる。ニューヨークタイムは下げ一服となるも、概ね本日の安値圏で引けている。

中国市場が4連休入りする中、本日の株株式相場は総じて安定的な動きを見せた。欧州株は前日比で2%前後の上昇となり、米国株も一応は一定の底堅さを見せたことが、金相場の上値を圧迫している。こうした中、欧州中央銀行(ECB)が2015~17年の成長見通しを引き下げると同時に、ドラギ総裁が景気減速とインフレ率見通しの悪化に対応するために政策対応の準備があると表明したことが、ユーロ安・ドル高を促し、ドル建て金相場の上値を圧迫している。現時点では量的緩和拡大の話し合いはなかったとされているが、ユーロ圏で政策対応余地が拡大していることが、改めてユーロ/ドル相場の上値を圧迫し、ドル建て金相場に対する売り安心感を強めている。

明日に8月米雇用統計の発表を控える中、ニューヨークタイムは下げ一服となっているが、特に雇用統計の悪化を見込んだ買い圧力などは確認できなかった。非農業部門就業者数の市場予測は前月比+21.7万人(前月は+21.5万人)となっているが、今回は雇用統計に期待される数値のハードルが下がっているだけに、20万人を超える雇用創出が実現すれば、金価格に対してはネガティブ評価が優勢となろう。

引き続き連休明けの株価動向が注目され、本来であれば中国市場の休場中に株高傾向を確立したい所である。ただ、雇用統計が米雇用環境の改善見通しを支持すれば、9月は無理としても10月や12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ着手が合意される可能性が高く、金相場の反発余地は限定されよう。金融市場がある程度の落ち着きを取り戻していけば、1,100ドルの節目は割り込む方向性が予測される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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