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NY金14日:続落、米景気に対する信認回復が嫌気される

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比2.90ドル安

始値 1,114.90ドル

高値 1,126.00ドル

安値 1,112.90ドル

終値 1,115.30ドル

中国発のリスクオフの動きが一服する中、前日同様に戻り売り優勢の展開となり、小幅続落した。

なお世界の株式市場は不安定な値動きをみせているが、中国人民元切り下げを基点にリスクマーケット全体がパニック状態に陥るリスクが低下していることが、改めて金相場の上値を圧迫している。欧州タイムには欧州株安と連動してプラス圏に切り返すような動きも見られたが、その後は米国株が米景気指標の強さを背景に底固く推移したことが嫌気され、再びマイナスサイドに沈んでいる。週末を控えて大きく仕掛けるような動きまでは見られなかったが、戻り売り圧力の強さは再確認されている。

本日は7月鉱工業生産が発表されているが、前月比+0.6%と大きな伸びを示した。前月の+0.1%、市場予測の+0.3%を共に上回っている。自動車・同部品が+10.6%と大きな伸びを示した影響が大きく、機械は2ヶ月連続のマイナスとなっている。ただ、全体としては米景気の底固さを示した格好になったことが、金相場の上値を圧迫した。

中国リスクが一段と高まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手が本当に可能なのかを巡る議論が活発化している。当然に中国発で世界的な金融危機に発展したり、中国経済の減速が米景気にも波及する事態になれば、利上げ見送りも選択肢になり得る。ただ、現在の米経済環境であれば、このまま金融市場が落ち着きを取り戻すのであれば、9月利上げの可能性も否定できず、金相場に対する戻り圧力は徐々に収束に向かおう。なお、従来よりも瞬間的な上昇リスクの高い相場環境になっているが、リスク資産からの資金流出に歯止めが掛かる動きと連動して、金相場の上値の重さが再確認される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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