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NY原油3日:イラン産原油の輸出急増警戒で大幅続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油9月限 前日比1.95ドル安

始値 46.86ドル

高値 46.94ドル

安値 45.08ドル

終値 45.17ドル

イラン産原油の輸出増に対する警戒感が強く、大幅続落となった。

イランのザンギャネ石油相は、経済制裁が解除されれば1週間以内に日量50万バレル、その後の1ヶ月以内に100万バレルの増産が可能との見方を示した。更に11月下旬までには同国の石油産業に対する制裁も解除されるとの見通しを示しており、事実上は年内に100万バレル規模の増産が可能との見方を示した格好になっている。こうした数値に関しては疑問の声もあるが、少なくともイラン石油省が積極増産を志向していることは間違いなく、同国に対する経済制裁の解除が国際原油需給の緩和状態を更に深刻化させるリスクが強く警戒されている。

加えて、中国の7月製造業PMIが前月の49.4から47.8まで大幅に低下する中、中国石油需要環境に対しても慎重な見方が広がっている。中国経済の減速を示す統計についてはサプライズ感が乏しくなっているが、それでも原油需要環境・見通しに対してネガティブであることは間違いなく、原油相場に対する売り安心感が一段と強くなっている。

なお需給リバランスの必要性の高い相場であり、戻り売り対応が基本になる。為替相場がドル高方向に振れていること、季節要因から製油所向け原油需要のピークが近づいていることもネガティブ。既に45ドル割れは目前に迫っているが、今後も更に価格水準を切り下げる必要性が高いと考えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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