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NY金1日:ギリシャデフォルトも、戻り売り優勢で続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金8月限 前日比比2.50ドル安

始値 1,172.40ドル

高値 1,174.40ドル

安値 1,166.70ドル

終値 1,169.30ドル

為替相場がドル高方向に振れたことが嫌気され、小幅続落した。

アジアタイムは、ギリシャの国際通貨基金(IMF)向けの債務支払いが履行されなかったことが材料視され、1,175ドル水準まで切り返す場面も見られた。想定されていた動きだが、ギリシャのデフォルト・イベントを受けて、投機マネーの流れに変化が生じるリスクが警戒された模様。ただ、欧州タイムに入っても特に目立った混乱が見られなかったことで、その後は戻り売り圧力が強まり、引けにかけてはマイナスサイドに沈んでいる。

英紙フィナンシャル・タイムズは、ギリシャ政府が条件付きながらも債権団の要求を受け入れるとの回答を行っていたと報じた。ユーロ圏財務相側の同意は得られなかったが、ギリシャが歩み寄りの姿勢を見せていることが確認されたことも、「安全資産」である金相場に対してはネガティブ。国民投票の実施前に土壇場で解決策が見出せるとの楽観的な声も聞かれた。

なお、7月5日に予定されているギリシャの国民投票の結果次第では、大きな混乱状況に陥る可能性がある。現地メディによると、国民投票で債権団の要求を受け入れるか否かの判断は大きく割れており、現時点での結果予測は極めて困難な状況にある。ただ、いずれにしてもギリシャに限定された混乱状況であれば大きな問題にはならないとの見方が強く、金市場に対する退避需要は盛り上がりを欠いている。

本日は、6月ADP雇用統計で民間雇用者数が前月比+23.7万人と今年最大の増加幅を記録したこともネガティブ。明日は労働省の雇用統計発表が控えているが、ここでも強めの数値になると、9月利上げ説が勢い付く可能性も十分にある。このまま欧州当局者がギリシャ危機をコントロールできれば、次は米指標から改めて米金融政策の正常化プロセスを織り込んでいけるのかが問われることになろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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