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NY金22日:ギリシャ債務問題の進展観測で急落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金8月限 前日比比17.80ドル安

始値 1,199.70ドル

高値 1,200.80ドル

安値 1,181.60ドル

終値 1,184.10ドル

ギリシャ債務問題の進展期待を背景に、急落した。

ギリシャ支援プログラムが失効する月末が近づく中、合意形成に向けての動きが活発化していることが、「安全資産」としての金価格に対する逆風になっている。詳細は明らかにされていないが、ギリシャ政府は新たな財政再建策を債権者側に提示している。企業に対する税率引き上げや累進課税の強化などが盛り込まれいる模様であり、欧州当局者からは慎重ながらも歓迎の声が上がっている。まだ最終合意には至っていないが、欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行に対する資金供給を強化していることもあり、月末までにこの問題を少なくとも一時的には封じ込めることが可能との楽観ムードが広がっている。欧州株式相場は堅調推移となり、ギリシャ債利回り6月上旬の水準まで急低下している。ドル相場は目立った動きを見せていないが、「安全資産」としての退避ニーズが後退していることが、ドル建て金相場の上値を強力に圧迫している。

仮に22日のユーロ圏財務相会合、首脳会合でギリシャ支援の延長方針が決定されれば、少なくとも金相場が急伸する必要性は薄れることになる。あくまでも問題の先送りに過ぎないが、これまでギリシャ情勢を巡る混乱状況でも明確な上昇トレンド形成に失敗してきた相場であり、退避ニーズが後退すれば、米金融政策の正常化プロセスを改めて織り込む動きが活発化し易い。

足元ではなおドル高圧力が見送られているが、来週7月2日には6月米雇用統計の発表も控えており、米経済の底固さが再確認できれば、緩やかなペースで下値切り下げを打診する展開となろう。6月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今後の利上げペースは緩やかなものになることが示されているが、金価格も緩やかなペースで利上げプレッシャーを織り込んでいく見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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