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NY原油17日:米原油在庫は減少するも、強弱まちまち

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.05ドル安

始値 60.03ドル

高値 61.38ドル

安値 58.85ドル

終値 59.92ドル

米原油在庫は減少するも、それを手掛かりに更に上値を試すような動きはみられず、期近安・期先高とまちまちの展開になった。

米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(6月12日時点)は、前週比-267.6万バレルの4億6,792.7万バレルとなった。これで7週連続の在庫減少であり、米国内在庫の余剰感は季節トレンドに沿った形で緩和される傾向が見受けられる。ただ、製油所向け原油需要がピーク段階に達した可能性が高まる中、ここからの原油在庫取り崩すペースが加速することはないとの安心感が広がり、原油相場を一段と押し上げることに失敗している。米シェールオイル生産が再び上向き始めていることもネガティブ。

ガソリン在庫が過去5年のレンジに回帰する中、製油所稼働率が大きく低下することはない。なお、原油と比較すると製品需給の方にタイト感が見受けられる。ただ、国際エネルギー機関(IEA)もこうした製品供給の混乱解消と共に原油価格には下押し圧力が強まるとの見通しを示している通り、製品相場主導で急伸する程の状況にはない。

国際原油需給に関しては緩和状態が続くとの評価が確立する中、米原油在庫の減少傾向という数少ないポジティブ材料を消化できれば、改めて下値切り下げ傾向が強まろう。「国際原油需給の緩和見通し」と「米原油在庫の減少傾向」の強弱材料について、どちらを重視して価格形成を進めるのか重要な分岐点に差し掛かっている。ドル高回帰が実現すれば50ドル割れも可能な相場環境とみている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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