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NY金20日:FOMC議事録待ちで小反発、議事録発表後も小動き

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比2.00ドル高

始値 1,207.70ドル

高値 1,212.50ドル

安値 1,202.70ドル

終値 1,208.70ドル

引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月28~29日開催分)の発表を控える中、ポジション調整中心の小動きになった。やや戻りを試す動きが優勢だったが、大きな値動きには発展しなかった。

アジアタイムに1,208~1,209ドル水準で揉み合いになった後、欧州タイム入りと前後して下値模索の展開になった。前日のドル高傾向が維持されたことで、ドル安連動で構築された買いポジションを解消する動きが優勢になった模様。ただ、FOMC議事録の結果次第では再び買い直されるリスクもあるため、ニューヨークタイムは安値是正の動きが強まり、最終的には前日終値とほぼ同水準で引けている。本日は特に注目度の高い経済指標の発表もなく、FOMC議事録の内容を見極めたいとする向きが多かった。

そのFOMC議事録であるが、結果的には金価格に対しては中立的な内容になった。目先の金価格動向に大きな手掛かりを与えるようなものにはならず、金価格の反応は限定されている。

同議事録では、多くの参加者が6月のデータがFF金利引き上げの条件を満たす十分な裏付けを与える可能性について、懐疑的な見方を示していたことが示された。数人が6月利上げの準備が整うとの楽観的な見方を示したが、全体としては6月利上げの可能性を後退させる内容と言える。ただ、第1四半期の景気減速に関しては、厳しい冬の天候要因、港湾労使紛争、パターンなどの一時的な要因の影響を指摘し、緩やかな景気拡大ペースに戻るとの見方が示された。このため、早期利上げ期待を盛り上げることは難しい一方で、年後半の利上げ期待そのものは維持される形になり、金価格に明確な手掛かりを与えることはなかった。

引き続き、米指標から利上げまでの距離感を打診する不安定な地合が続くことになる。欧州サイドで緩和策強化の可能性が意識される中、ドル安傾向に歯止めが掛かっていることが、金価格の短期ピークアウトを促す見通し。ドル安の勢いが鈍化する中、上昇リスクは後退している。ただ、これを改めてダウントレンドに発展させていくには、良好な米経済統計で利上げ期待を盛り上げていくことが要求される。再び200日、100日移動平均線を下回ったことでトレンドフォローの買いは一服したが、明日の新規失業保険申請件数、21日の4月中古住宅販売高などを手掛かりに、完全なドル高トレンドへの回帰を実現できるのかに注目したい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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