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NY原油27日:サウジの生産意欲が強く、調整売りで小幅続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油6月限 前日比0.16ドル安

始値 57.30ドル

高値 57.89ドル

安値 56.52ドル

終値 56.99ドル

サウジアラビアからの大規模な供給リスクが警戒される中、小幅続落した。

サウジのアブドルアジズ皇太子は、サウジ産原油に対する需要を全て満たす形で対応すると述べた。具体的な産油量などについては言及しなかったが、今後も日量1,000万バレルを超える生産体制を維持する方針を再確認したと評価できる。原油相場に底打ち期待も強まる中、ここでサウジアラビアが産油量を抑制すれば、更に安値を進めていくことも可能になる。しかし、サウジはこのタイミングで大規模な増産政策に舵を切っており、必ずしも早期の原油価格回復を望んでいない可能性を示唆している。

5月は米シェールオイル生産量が前月比でマイナスになる可能性が高いが、需給バランスの均衡状態を実現するには、更に生産調整を促す必要性が高いと判断している可能性がある。こうした中、シェールオイルの減産傾向を背景とした原油買いの動きは勢いを欠いており、60ドルの節目回復を前に失速している。もっとも、改めて売り込むような動きまではみられず、下げ幅は限定された。まだ強気筋が本格的にポジション整理を進めるような動きまでは確認できず、高値保ち合い気味の相場展開が維持されている。

引き続き、「シェールオイルの減産兆候」と「足元の需給緩和」のどちらを重視するのかで決まる相場環境だと考えている。冷静に考えれば、シェールオイルの生産が日量数万バレル減少したとしても、大きな意味はない。それ以上にOPECからの供給が増えており、供給サイドで需給引き締め圧力が強まるような環境にはない。短期トレンドは明らかに上を向いているが、今後は高値是正の必要性が強く、下値不安の大きい価格水準と評価している。ただ、シェールオイル生産が当面のピークを確認するステージを迎えているのも事実であり、将来の需給均衡化を先取りする動きが加速する流れには注意が必要。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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